川瀬巴水展に行ってきました②
先日、SOMPO美術館で開催中の 川瀬巴水~旅と郷愁の風景~に行ってきたときの「はじめまして」について書きました。
今回はそのときの「また会いましたね」について書きたいと思います。
どこかで見たような・・・
川瀬巴水作品の美しさの一つが、版画ならではのグラデーション。
絶妙な濃淡からなる美しい空の色には思わず見入ってしまいました。
また、よく見ると、繊細な描写の中にも大胆に省略された箇所やデザイン性のあるポップな表現も見つかりました。それらの作品を見ているうちに、少しずつ既視感が心の中に湧いてきました。
どこかで見たような…?誰の作品だったのだろう…?と思いを巡らしていると永井博氏に辿り着きました。
そう。あの大瀧詠一氏のジャケットも手掛けた永井博氏です。
(残念ながら、こちら↑の展覧会には足を運ぶことはできませんでした…)
空の水色から紫色へ移り行く淡い繊細なグラデーション、そしてリズミカルな描写。二人の作品の共通する部分を見つけてはこっそり嬉しくなりました。
よくよく考えてみたら永井博作品はリトグラフ。リトグラフも版画の一種なので、どこかしら似た感覚を受けるのも当然だったのかもしれません。
Points Of You®的な視点
「はじめまして」のときに触れた ”鑑賞法を工夫する” ②五感で鑑賞。
その感覚はPoints Of You®の写真カードに向き合っている時に似ていると気づきました。
Points Of You®のツールには、「コーチングゲーム」「パンクタム」「フェイシーズ」等いくつかあるのですが、それらに共通するのが写真カード。
そして、その写真カードを眺めるときは「質問」と一緒に向き合います。
「写真の中には何が見える?」「その写真を構成している要素は何?」「いちばん目に焼き付いた箇所はどこ?」からはじまり、
ワークの内容によっては「どんな匂いがする?」「空気は温かい?」「風は吹いている?」「どんな手触りがする?」など、自分がその写真の中の世界に入り込み、その中の空気を味わう感覚を味わいます。
数々の質問と共に写真カードを眺めると、気づかぬうちに視点が増えて色々なことが感じられたり、見えて来たりするのです。川瀬巴水の作品たちと向き合いながらそんな感覚を味わっていたことに気付きました。
旅に出たいという気持ち
川瀬巴水は旅情詩人と呼ばれた画家。
国内外の様々な場所を訪れて、その場・その季節ならではの風景、人物、構造物を魅力的に表現しています。
作品を見ているうちに、様々な土地を訪れてその場を楽しんでいるいるような感覚になってきました。すると「あ~また旅したいな」という気持ちが自然と湧いてきました。
今はまだ旅行をするにも色々と考えてしまう時期。。無意識に気持ちが内向きになり、”旅” を自分の行動の選択肢の中から除外していました。しかし、川瀬巴水の作品の数々に触れたことで、まだ訪れたことのない土地に足を踏み入れた時のわくわく感や新しい発見、驚きを感じてみたいなぁと改めて思いました。
以上、川瀬巴水展での「また会いましたね」でした。
補足)スティーブ・ジョブズも川瀬巴水作品のことを気に入っていたようです。こんな記事を見つけました。
展示期間も残すところわずか。気になった方は、ぜひSOMPO美術館まで!