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あなたには言えないこと
枕を濡らしたことや
瞼の腫れを、マッサージやアイマスクで
解消したことがある。
あれ?と、モヤモヤしたり
必死に男性心理や占いを見て
自分を納得させたことがある。
結婚した、という人の話を聞いて
素直に喜べなかったことがある。
そんな、みじめな気持ちを味わって
いつか「心の安全地帯」と出会いたいと
30の頃、本を買った。
半信半疑で、自分のできそうなところを
中途半端に実践し
まったく兆しが見えずに
くじけそうになっていた。
「旦那さん元気?」
気が早い周囲に
ええ、とか
ぼちぼちですねとお茶を濁す。
私が彼への想いを伝えるのは
note上でだけ。
どんなに幸せな気分でいたとしても
周りには言わない。
どんなにモヤっとしたとしても
(実際には小さなモヤだ)
それを現実世界では
いちいち愚痴らないし、
本人にも伝えない。
言葉は、発した人ではなく
受け取る人のものだからだ。
「いただきまーす!」
手を合わせて、彼のつくったおかずを
一人で食べていた。
傍らには、前倒しバレンタインに
彼から貰ったブーケ。
パスタソースの瓶に活けてもらった。
彼は茎を結った状態のまま
挿していたので、
彼を見送った後はずし
形を変えないように活けなおしておいた。
きっと気付かない。
そうであってほしい。
日常のこまごました場面で、
そういう「おやおや」
ということはある。
でも、それは彼から見た私も
同様かそれ以上だと思う。
仕事でだって、先輩に知らぬ間に
フォローされているのだ。
実生活だけパーフェクトなんて、
そんなことがある筈もない。
人は簡単には変わらないし、
小さなこだわりで愛を壊すのは
愚か者のすることだ、と
あの本をはじめ
過去の経験から学んだ。
だから何も言わない。
彼には感謝と尊敬を。
noteには、彼への愛や
自分の心のゆらぎを書いて
客観視する。
冷静な頭で恋愛や結婚をするために。
「おいしすぎる。
やっぱり彼は料理上手だわ。
はぁ、幸せ。」
風呂上りは無防備だ。
食事中はもっと気が抜けている。
だから、思ったことが口に出ていた。
寝室とリビングは繋がっているので、
開け放したドアから
彼は猫の名を呼んだ。
ぎくり。
全部聞こえていたのだ。
「鳴けばごはん出てくると思ったらいけんよ~」
「食っちゃ寝しとったらだめよ~」
私は吹き出す。
「それ私に言ってるよね!?」
「そんなことないよ~」
顔は見えないが、
どんな表情をしているかわかった。
真っ白なブーケが、ふっとほころぶ。
行ってらっしゃい、と寝ぼけて笑うと
彼は「え~」とゴネる。
でも「ゆっくり寝てな」と頭を撫でた。
私はのびをして、
上着を羽織る。
ふらふら追いかけていって
ぎゅっと彼を抱きしめ
行ってらっしゃいをし直す。
「君がいるから、仕事頑張れる。」
「いつも、早く帰りたいなって思うんだよ。」
どんなタイミング?という瞬間に
突然真顔で、そう言ってくれる。
きっと、どきどきや
愛しさがこみ上げてきて
私がnoteを認める時と
同じようなものかもしれない。
私はそれを受け取って
ありがとうと伝える。
どう表現すれば、あなたに伝わるだろう。
分かりやすく、真実を。
男性のあなたに響くやり方を
試行錯誤しつづける。
シンプルなことほど
「これも?」と思うことほど
きっと大事なんだろう。
バレンタイン。
あなたの妻になったら
手作りするからね。
いつもありがとう。