見た目と中身と頼り甲斐
見た目と中身と、どちらが大事かと聞かれたら
それは勿論中身だろうか。
容姿なんて年齢を重ねたら同じだ。
しかし内面の、性根はそうそう変わらない。
それが表情や顔つき、しぐさや話の展開の仕方に現れて容姿を形成する。
意地の悪い顔をしている(きつい、とは少し違う。もっといやらしい独特の空気が出ている)人は中身もそれなりだ。
そういった意味では容姿は大切だと私は考えている。
私はどちらかというと男顔である。
性格も大雑把で、良くも悪くもあっさりだ。
話をしていると「漢らしい」とか「(内面が)かっこよすぎる」と言われるので
なんとかホルモンが男性寄りなのかもしれない。
頼り甲斐のある男は見たことがなかったが、
私の婚約者はとても頼りになる。
よく気がつくし、すべての言動が責任感に裏打ちされたものである。
それは、私自身が著名な書籍で男性心理や女性との根本的な違いを学習し実践したからそのような振る舞いをしてくれるようになったと実感している。
私のせまい価値観や固執した考えのもと接していたら、婚約にまでは至らなかったろう。
「今日、はやく終わるなら迎えに行くわ。」
彼はそう言った。
ロッカーに、前の家から引越しのバタバタで一時置きした本が12冊あると教えたからである。
私は単なる「やらなきゃなあ(自分で)」リストのひとつとして話したにすぎないが彼はなぜか「俺が動かないと」と発想を転換する。
「え、いいよ…悪いし」と言いたくなる場面だが
私は練習の成果あってするりと礼を言うことが出来るようになっていた。
「じゃあ定時で終わらせられるようがんばる。リュックできてね。ありがとう。」
「へいへい」
彼はめんどくさそうな振る舞いをするが、しっかり防寒性のある上着を私に渡した。
「帰りは寒いからカイロ貼って。渡したでしょう会社用のやつ。」
うん、ダウンも中に仕込むねと私は笑った。
濃いお茶をボトルに詰めてくれた彼を見て
私はつぶやく。
彼は「なに、急に?どうしたの。」と照れる。
私は繰り返す。
「なんか今日いつもよりカッコいいから。なんかした?」
「なにもしてないよ、何言ってんの」
そっか、好きな顔だからかなと笑うと彼は黙った。
内面が好きだから、容姿にも惹かれるのか
容姿に惹かれたから内面がよく見えるのか。
卵が先か鶏が先か、どちらでもよい。
いいなと思ったものには
臆さずストレートに伝える勇気を持ち続けていけたらいい。