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明けまして、ど本命人生



「起きて。初詣行くよ。」
彼に揺り起こされ、のびをする。

彼は半裸で、私は服を着ていた。
急に恥ずかしくなって布団を目元まで引き上げる。


「あ はっぴいにゅーいやーー!!」
そんなことはお構いなしに
上からぎゅう、と抱きついてきた彼に
私は同じ言葉をふにゃふにゃと返した。


前夜。
ベッドでゲームをしながら寝入ってしまい
年越しの時に彼に同じ文言で起こされた。
眠ったつもりはなかったのであれ?と答えた。
夢うつつのまま服を脱がされ、
頭がぼうっとするほどの熱量で抱き合ったのだった。


彼はタオルを当ててくれ、シャワーを浴びにいった。
私は乱れ髪のままどうにか服を着直して横になった。腰が砕けてしまって歩けない。

御神酒を入れるから風呂は朝でいいよと彼は布団をかけてくれる。
指を絡め、24年中の出来事を反芻したりした。




私はベッドメイクをしながらふらふらと起きて
結露をとっている彼に礼を伝えた。
「ねえ、好きって言った?」
「いつ?」

赤面すると彼は笑った。
「寝ぼけてしてた?ひどいなあ。」
「好きなのは変わらないよ。」


なんでそんなに余裕の笑みなの。




私達はお湯を張った。
でも思い立ってジョグに出かける。
近所に初詣に上がるために。


「マックのとこ通ろうよ。」
「走った意味なくなるよ!」
彼は言うけど、結局私の分のお賽銭とカードを持つ。


柏手が響く境内は
線香の香りがする。


「こうしてると夫婦みたい。」
私は笑った。ゆるやかなジョグをしながら。

「夫婦になるんだよ。」
彼は心外だと笑う。



午後、お義母さんに電話をかける。
緊張するけれど、たぶん大丈夫。


ハッピーターンのポテトは冷めているけれど
充実したはじまりの朝は
ぽかぽかとあたたかい。


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