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海と空とふたり

2021年秋ごろのことだったか、長期休暇が取れたので実家に帰省した。

土日、海沿いのカフェに家族で昼ご飯を食べに行こうということになり、カフェまで20分、車を走らせた。

カフェに着くと、何やら活気にあふれ入口までいい香りが漂ってくる。
すでに予約がいっぱいだったようで、待ち時間30分と言われた。

(後でわかったことだが、この田舎町においては人気店だったらしく、
予約してから行くべきスポットだったようだ。)

もしここが東京だったとしたら、あきらめて別の店をすぐ探しただろう。

しかし、ここは愛媛県の田舎町。

海沿いのカフェなんてそう何軒もあるわけではないし、
新しい店を調べて車で向かううちに30分なんて過ぎてしまうだろう。

幸いなことに、そのカフェは晴れた瀬戸内海が一望できる場所で、
目の前に広がる砂浜にも降りることができた。

海を見ながら30分、のんびり待ってみることにした。
(最高の待ち時間だ!)

晴れると向こうの島々までよく見渡せる


瀬戸内海は、四国と中国の間にある実に静かな海だ。
異国から流れ着く漂流物もほとんどなく、写真の通り白い砂浜が一面に広がっている。

しばし童心に立ち返り、母と一緒に貝殻集めなどをした。

父はそれを見ながらとことこ周りを歩いていた。


ふと遠くを見やると、私たちと同じように貝殻集めをしている、私たちとは違って本当に童心のある姉妹(6歳くらいと、4歳くらいだろうか)とお母さんがいた。

20年経っても私たち同じことをしているねと、母と笑った。

女の子はいつまでたってもきれいなものやキラキラが好きなんです。

貝殻やガラスのかけら

もうそれこそ20年ほど前になるだろうか、私は当時のことをあまり覚えていないけれど、まだ関東に住んでいたころ、家族4人で海水浴に行ったことがあるらしい。

私と妹は海で泳ぐのもそこそこに、砂浜で一生懸命、ガラクタのような貝殻やガラスを集めていたそうだ。

大きな貝殻や変わった色のガラスが見つかるたびにめをキラキラさせ、
キャッキャッと喜んでいたらしい。

そこでふたりが必死にかき集めた戦利品を、母をビニール袋に入れて持って帰ってくれた。

そしてその戦利品は今でも実家に飾ってあるらしい。

その先は深く聞かなかったけれど、大人から見ればガラクタみたいな欠片たちを、当時の思い出として大切に持っていてくれたことが、私にとっては嬉しかった。

普段は特段愛情を口にしない母だけど、そういう一面はかわいいな、と思った。

父と母


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