Peripheryについて。(+音作りのしかたも少しだけ)

Peripheryというバンドをご存知の方は大体同時にDjentというジャンルを知っていらっしゃる方が多いかと思います。

・Djent(ジェント)って?

Djentとは現在のメタルの主流ともいえる1ジャンルに昇華された、もとはメシュガーのギタリストが提唱した低音弦を鳴らすときの擬音からとられて『ジェント』(ジャンジャンみたいなものです)という名前が付きました。のちに、メシュガー系統のプログレッシヴで変拍子や重低音を織り交ぜたポスト系、一般メタルとの融和の結果、現在の潮流となりました。その中で、ミーシャ・マンソーがインターネット時代から引き揚げたバンド、Peripheryが2010年代からのモダンメタルと現代Djentの祖となります。

・ドリームシアターとは違うの?

プログレッシヴ・メタルといえばドリームシアターが筆頭に上がりますよね。私も世代的には90-00年代メタル出身なのでドリームシアターが一時期は憧れでもありました。今は何が起きたかKoRnが一番好きなんですけどね。ドリームシアターと違うかといえばPeripheryは違います。ミーシャはもともとドリームシアターやメシュガーのネット時代はファンではありますが(Train of Thoughtくらいの時期)、Peripheryの音楽スタイルはよりへヴィでメタル要素が強いです。(Another Dayのような曲はないかなと思います)。ただし、Peripheryは今はびこるDjentバンドやメシュガーに比べるとかなり聞きやすい部類です。音の構成もそうですが、メロディアスなので結構聞きやすいです。ドリームシアターに近いのはむしろ今ではPolyphiaではないでしょうか?

・おすすめ紹介。

Scarlet

このマスタードVSケチャップといういかにもアメリカンなPVですがライブでとりあえず盛り上がるにはこの曲です。比較的昔の曲なのですが、今となっても人気の高い、キャッチ―な曲です。ちなみに。

デレステ/∀NSWER

いきなり閑話なのですがこの曲とScarletって似ている気がするんですよね端々が。作曲の睦月周平さんが意識されたかは分からないんですけど、基礎チューニングがLow-Bに下がってる意外はいかにもDjentを意識した作曲法を感じます。ちなみに7弦とかのレギュラーチューニングで弾くのは少し難しいかもしれません。

Marigold

PVのセンスは相変わらず独特なのですが、クラシカルなストリングスメロディから同じスケールを低音弦で再現していく、プログレメタルらしい曲です。ちょっとだけこの曲はDream Theaterの影響も感じました。割と王道のプログレやってる感じしますね。

PERIPHERY - The Way The News oes (Live Music Video)

クリーンギターでの美麗なフレーズとブラストビートの激しいサビが特徴的な楽曲です。クリーンフレーズは素早く正確なピッキングを求められるので結構難易度は高めです。

Catch Fire

独特のコード感から始まる静と動、そして少しヒップホップ的な歌の載せかたが特徴的な楽曲です。Peripheryはこの『P3:Select Difficulty』以降特に音が洗練されています。Alpha/Omegaまではまだ実験作というイメージだったのですがP3以降はミックスが安定したのもあって聞きやすさとテクニカルが両立していることがはっきりしていますね。

Sentient Glow

『P4:HAIL STAN』の中でも聞きやすさと激しさがトップクラスのいい曲です。メロディックな歌メロからデスヴォイスの攻撃性が良く出ていますね。

It's Only Smiles

Djentっていうと確かにギターフレーズは結構面倒なのですが、メロディックに寄せるほど美麗さも際立ちます。この曲はいい例ですね。全体はとてもポップスなのにギターのフレージングでいかにもDjentの片鱗を感じさせます。

Blood Eagle

まあ聞きやすい曲を連続したのでここで一回戻りましょう。実際Djentの傾向はこの激しさと低音弦のへヴィリフの一体感にあると思います。ややメロディアスよりもテクニカルが優先されたプログレッシヴさ、この曲はメシュガーなどにも影響を受けたなと少し感じられますね。

Lune

P3のラストを飾る大曲です。それまでの激しさなどは鳴りを潜め、とてもエモーショナルで壮大な曲となっていて、個人的にもとても好きな曲です。CDでは途中でシネマティックパーカッションを入れるなど実験的でもあり、ストリングスなども使用しているため旋律の美麗さを感じさせます。

・Peripheryっぽい音を作りたいなら?

DTM・宅録環境として考えるので『実アンプ』などは使いません。プラグインメインで考えます。

ギターはまずドロップCやホールダウンチューニング、時々オープンチューンの場合もあり千差万別です。Djent系で言うとPolaris(AU)なども特殊なチューニングを施していますね。6-8弦まで色々使うのでギターはそれぞれ用意しておくと楽です。私の場合はPeripheryがやりたかったら7弦と8弦を一応使います。6弦のギターを今所有していないのもあるのですが。

ミーシャ基準で行くとアンプはEVHやPeaveyといったへヴィでは比較的一般的なサウンドを基調としていますのでOverloudのTH-UやLine6 HelixNative、FractalのAXE、Kemper、BIAS、なんでも大体モデリングがあると思います。アンプの持ち味を出すためODやDSはスクリーマ程度でいいと思います。ギターによってはPU次第で低音弦が埋もれるパターンもあるので。Djent特有の冷たいクリーントーンは音を少し細らせて、例えばここだけシングルのPUで弾くか、ハムのPUでもフェンダーなどのモデリングで音をわざと細くしてコーラスや空間系エフェクトをかけるとそれっぽくなります。ちなみにギターVSTのHeavier 7 Stringsのプリセットにかなりそれに近い音色もあるので打ち込むのもありだと思います。エフェクトはNeural DSPのArchtype Nollyを使うといいでしょう。

・ベース

Djentのベースといえばバッキバキで、ディスト―ションのかかったピックベースって感じですよね。その場合、高出力の5弦+PU、Nollyに準じるならPeaveyのアンプモデルでよろしいでしょう。プラグインで済ませる場合は、まずベースはKontaktのSubmission AudioのEuro BassⅡやDjnBassがお勧めです。次にAmple SoundのAmple Metal Stingrayなどでしょうか。エフェクトに使うといいのはNeural DSPのDarkglassを使うのがいいでしょう。何より、Nolly監修のプリセットもありますしね。

・ドラム

ドラム音源ってADとかBFD3とかSD3とかが人気ですが、Peripheryに寄せるなら本家Get Good氏から出ているKontaktライブラリGet Good Drumsを選ぶ方が幸せになれます。GGDではModern & MassiveはP3までの音を、GGD P4はその名の通りP4:HAIL STANのサウンドを再現できる音源です。特に抜けのいいスネアサウンドはGGDが一番楽に出せます。いわゆるMix-Readyの音源というより処理してこその部分があるので基本的には各パーツをパラアウトして各セクションのエフェクト処理は必須ですが、一番Peripheryサウンドを出しやすいうえ、そもそもGet Goodが販売しているので間違いはないでしょう。GGDのInvationは少し傾向が違うのでM&MかP4がいいでしょう。ただ、P4はキックにサブキックが入っていないので入れたい人は別個用意したほうがいいかもです。


・実の所、現代がDjentの人気がすさまじいので、プラグイン業界は望まずともDjent系の音は作りやすい環境下にあります。プラグインの値段も、それぞれ139$程度ですので全部そろえても10万以下で収まります。これは理想の音を作る割には安上がりと考えるべきでしょう。特にクオリティが高いのはNeural DSPのエフェクト、GGDドラム、Submissionのベースという感じです。

なので極端な話をすればエフェクト類はNeural DSPで全部統括できますし、ドラム音源もGGDを使えばそれらしくはなるという感じです。ギターもベースもグリス奏法、チョーキングを使う伝統的なロックソロなどをDjentは使わないのでサンプルやVSTで、変な話全部打ち込みでもそれらしい曲になるんですよね。

・まとめ

いかがでしょうか。海外ではメインストリームになっているDjentというのは好き嫌いがかなり分かれているジャンルで、私もニューメタルが好きなのでPeriphery以外は個性のない極端すぎる低音主義の類似バンドという感じであんまり好きではないんですが、音楽実験としてとても面白いなとも思います。へヴィネスとメロディアス、テクニカルを組み合わせたDjent、今風の子たちには人気のイカした音楽という奴ですので乗っかってみるのもいいかもしれませんね。

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