SDZs #4 ハンバーガーのエレジー
産まれてこの方、ハンバーガーを綺麗に食べられた覚えがない。綺麗に、というのは見るも無惨な食い終え様を指すのではなく、ハンバーガーを構成するパンや肉やその他具材の一口におけるバランスを崩すことなく食べ終えることだ。これが出来ない、出来た覚えがない、なんなら初っ端から崩れてることすらある。
パンと肉の二要素に絞ったとてしくじることが多々あるからたまったものではない。肉が先に無くなった時の哀愁も中々に堪えるが、パンが先にすっぽ抜けた時のあのソースに塗れた包み紙の屈辱感は相当なものだ。
ハンバーガーの完成図から考えるに、少なくとも具材部分はパンの範囲内に収まっているが、見た目を重視したものであれば多少はみ出ているものもある。いずれにせよ、パンと具材部を同ペースで食べていけば、少なくとも前者であれば収まりよく食べ終わることが出来るはずである。理論上は。
が、出来ない。出来た試しがない。必ずパンが先に消えるか、肉がすっぽ抜ける。下手すれば最初に構えた時点で一口目が肉にたどり着かないケースだってある。そうなれば敗戦濃厚だ。
と、ここまでは包み紙タイプのハンバーガーの話。ハンバーガーといえばもう一つ別の形態が存在する。そう、串が刺さっているタイプだ。食べたことはないが、もうすでに負ける予感しかない。
考えてもみてほしい。包み紙という大まかな形状の補助がついている上で綺麗に食い終えることが出来ないのに、一体あんなどう食えばいいのかわからないものを綺麗に食い切る可能性がどこにあろうか。テーブルマナーや食事の作法についてとやかくうるさくなった現代、ああいう「どう食べるのが正解かわからないもの」のご教授もお願いしたいものである。
思えば、丼ものしかり、ラーメンしかり、ハンバーガー以外も綺麗に食べられていない気がしてきた。考え過ぎも良くないが、食のバランスを今一度考え直すべきかもしれない。