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法学編入試験対策 宇奈月温泉事件
1.はじめに
モンゴメリー・バス・ボイコット事件に続き、法学編入試験で頻出の事件について解説します。
今日は、宇奈月温泉事件という、権利の濫用が問題となった事件です。
2.事件の経緯
この事件は、宇奈月温泉という場所で起こりました。温泉を使うためには、引湯管という管を通してお湯を引く必要があります。
宇奈月温泉では、7.5kmもの距離に引湯管を設置するために多額の費用がかかりました。土地全体を買い取るわけにはいかないため、各土地に引湯管を通すための利用権を設定していました。
しかし、一部の土地では利用権が設定されていなかったため、それを利用しようとする人が現れました。この人は土地を買い取って引湯管を撤去するか、高額で売りつけることを宇奈月温泉に要求しましたが、拒否されました。
3.判例の概要
その後、Xは土地の不法占拠だと主張して宇奈月温泉Yを訴えました。1審と2審では宇奈月温泉Yの勝訴でしたが、Xは大審院に上告しました。最高裁の結果、Xの主張は認められず、宇奈月温泉Yの勝ちとなりました。
この裁判では、所有権の侵害による損失がわずかであり、侵害の除去が困難で費用がかかる場合に、不当な利益を得るために侵害の除去を主張することは所有権の目的に反し、権利の濫用になると判断されました。
つまり、Xは所有者である土地を利用して妨害排除請求をすることはできますが、この場合は利用価値のない土地を高額で売りつけることを目的としていたため、権利の濫用とされました。
4.判決の意義
この事件は、「権利の濫用」を理解するために重要な判例です。所有権は強力な権利ですが、常に行使できるわけではないことを覚えておきましょう。