遠くまでどこまでも続く道
大学4年の夏休みに、友人と2人で「青春18きっぷ」の旅をした。
この切符は、JRの普通・快速列車が1日乗り放題×5回できる魔法の切符。(他の使い方もあるので、詳しくは各JRのHPをご確認ください。)
まずは宮崎から東京まで飛行機で飛び(笑)、そこから知人に会ったり、観光名所を訪れながら、宮崎まで列車で旅するという名の冒険。
最初は意気揚々とスタートしたが、やはり長時間の移動は疲れる。4日目に高知に着いたときには、結構限界に近づいていた。早く帰りたいのに、宮崎に近づくにつれて、列車の本数は少なくなる。
本当に線路はどこまでも繋がってる。不思議な感覚だった。
宮崎以外で生活をしたことはないけど、別の地域でもそれぞれの暮らしがあるんだなあと身をもって知った。
あの時みたいに、旅をしたい。
きっと、同じことをしろって言われても無理なんだけど。(笑)
ためらいながら何度も立ち上がるよ
私たちは、ほとんど話したこともなければ、直接会ったこともない。だが、スターターピストルが鳴ってしまったからには、進むしかないのだ。
コピーライターの阿部広太郎さんが主催する「言葉の企画2020」は早くも第4回を迎えていた。
劇団ノーミーツ・林健太郎さんからの課題だった。
実は、第3回の講義も終わっていない中での今回の課題発表。戸惑ったのは、私だけではないはずだ。
今まで学校や職場などで様々なチームを経験してきたが、今回のチームはちょっと違う。ほぼ初対面だし、職場も年齢も性別も住んでいるところも、バラバラ。
我々のチームは、課題発表後すぐにメンバーのひとりからtwitterで招集がかかり、あっという間にLINEグループを作成。どんなメンバーなんだろうと、不安で緊張して声をかけられなかった私には、とってもありがたかった。
そして、翌日にはGoogleフォームで日程調整をし、その2日後には大まかな日程が決定。順調!
計画を立てたものの、やはりこの通りにいくはずはなく。
全員がミーティングに参加出来ない日が出てきたりもした。
これは、②の時に決めたチームの方針だ。ここではまだ時間の余裕もあり、自由に発言できた。アイディアを出した分だけ充実している気がしたし、気分も高揚した。
だけど。
③もんもんとする。〈実際に自分たちがする〉となった途端に考えがまとまらない。楽しいだけじゃダメ。実現可能か。チーム方針に沿っているか。あーだこーだ議論したが、結局何をするか明確に決まらなかった。残り2週間を切っている。あれ、意外に時間がない。
④早めに始めて、中打上げしよう作戦。なんのこっちゃない。17時からスタートして4時間半経っていた。『半沢直樹』に間に合わなかったが、ようやく〈何をするか〉が決まり、スライドの担当ページを埋めていく作業へ移る。
あとはまっすぐ進むだけと思った最中、大前提が覆りそうな事件が勃発。
また来たな!そもそもクン!何度も何度も何なんだ君は!
テキストだけでのやり取りでは難しく、集まれる人だけで話そうと⑤の3日前に集まった。「何言ってるか分からなくなってきた(笑)」と言いながらも、自分たちで納得できる答えを探した。
阿部さんの言葉も借り、先輩たちの背中を追いながら、〈自分たちだからできること〉を考え続けた。
⑤そして迎えた最終ミーティング。ようやく考えが固まったと言うよりは、考え尽くした結果、一周回って最初に出ていた意見に納得した。
企画書の文言チェックをし、最後にタイトルを付けた。我が子を送り出すような気持ちで、オンライン越しに画面共有をしながら課題提出を見届けた。みんなでゴールテープを切ることができた。この日を拍手で迎えられたことは、本当に嬉しかった。走り切ったぞ~!
走り出せ明日を迎えに行こう
課題提出というゴールは達成した。
だが、これは終わりではなく、新たなスタートの合図だった。
なぜなら、課題提出の3日後には企画を始めなければならなかったからだ。
私たちは、「未来の待ち合わせ」を「出発の日」と名付けた。
ゴール、だけど、スタート。
半年間の努力を称え、祝い、これからもつながっていけるように。
2020年12月12日に向かって、100人で歩いた100日間をカウントダウンするという企画を考えた。
言葉の企画2020をより有意義にするために。自分たちが頑張ってきた軌跡を残すために。そして、これを見てくれた未来の企画生にもバトンを渡せるように。
課題提出時に決めていたのはシンプルな事だけだったので、それから約3ヶ月間は毎日のネタ集めや月1回のミーティングなどでチームの活動は続いていった。
特定の人だけにしわ寄せがいくこともあったが、その度に役割を再確認し、お互いに声をかけ合い、私たちは日を重ねるごとにチームになっていった。
出発の日が近づくにつれて、他のチームの企画も現実味を帯びてきた。
企画生すごすぎ!(語彙力)
企画が形になるって嬉しい!チームの力って無限大だ!
自分たちの企画で、その感動を伝えられるのが嬉しかった。
会ったことのない誰かにも届いてほしい、と思った。
幸せの虹は何色なんて気にしなくていいから
現在活動休止中の国民的アイドル・嵐。
高校卒業を機にファンクラブに加入し、5年程熱心に応援していた時期があった。もちろん、今でも大好きだ。
憧れを通り越して「嵐になりたい」と思うことがある。
夢だけ持ったっていいでしょ?
アイドルとしてだけではなく、人として彼らを尊敬している。なぜなら、個性豊かなメンバー同士だけど、仲間思いで周りへの配慮も忘れない人たちだからだ。(パフォーマンスのことなどを取り上げ出したら切りがなくなるので、ここでは割愛。)
相葉雅紀さんがいるだけで周りが笑顔になる。笑えるような、泣けるような、ミラクルが起きる。純粋さに感動する。率先してなんでも挑戦するその勇気に、背中を押される。
松本潤さんのストイックさが好きだ。周りがいかに楽しめるかを常に俯瞰している。新しいことを取り入れようと感性を磨くために、勉強し続ける姿勢に惚れ惚れする。
二宮和也さんのオンオフの切り替えスピードにはクラッとする。その場の空気を読んでどんな相手にも合わせられて、さらにその人を引き立てる。縁の下の力持ちをサラッとやってのけるスマートさがかっこいい。
大野智さんは、ザ・マイペースの愛されキャラ。好きなことを極める根気強さもありながら、周りを包み込む優しさもある。何も考えてなさそうなのに、情に厚くて涙もろく、可愛らしい一面もある。自分に正直な人だ。
櫻井翔さんの安定感はピカイチ。その裏にはしっかりと下積みされた努力をひしひしと感じる。誰に対しても敬意を忘れず、何事にも真摯に向き合う。その真面目さが、心を動かす。
彼らになろうと思ってなれるわけではないのは重々承知だが…。
こんなに無邪気で、真剣で、愛のあふれるチームはないと思う。みんなが嵐みたいなチームだったらハッピーになれるって本当に思う。
5人のパワーが交わることで、それぞれの魅力が爆発する。
一人ひとりの負担が、一人ひとりの充実に変わる。
ひとりー独りーではチームになれないのだ。
ここから新しい場所へ何も恐れないで
チーム全体が盛り上がり、且つやりがいを感じることができ、負担さえも快感になる企画は本当にいい企画だと思う。
だけど。
そんな企画にしていくために、メンバーときちんと向き合えただろうか。言いたいことを言えていただろうか。遠慮はしていなかったか。課題を出した後、企画がすでに走り出した後も、できることはもっとあったんじゃないか。
私は周りの発言や態度などを、いちいち気にしてしまう癖がある。もともと交友関係がなければ尚更である。
そんな私は少しずつ、変わっていった。
「チームの企画」のおかげで、私はもっと人を好きになったし、チームの素晴らしさを知った。感謝の気持ちを込めて、メンバーにお手紙を。
この5人だから、9月3日から12月12日までの100日を、一緒に走り切ることができたと思う。ロングラン、お疲れ様。
『12月12日は玄関を勢いよく飛び出したくなる』
これは提出した企画書のタイトルである。
100日のカウントダウンを経て、企画生がワクワクした気持ちで待ち合わせに向かえる状態になっていたらいいなという願いが込められている。
走り出さなければ分からなかったと思う。
未来は、こんなにも楽しいことが待っているなんて。
会えなくても、つながることはできるんだって。
止めないで今を動かす気持ち
言葉の企画2020を旅立った私は、企画メシ2021に関わるチャンスをもらった。
講義の様子を伝えるレポートライターに立候補し、「チームの企画」を担当することになった。課題提出前にいくつかのチームミーティングを覗かせてもらい、当時のことを思い出した。
ほぼ初対面の企画生同士でチームを組み、期限までに課題を仕上げなければならないプレッシャーは、想像以上にきつい。
上手くいったチームばかりではないと思う。
迷い、悩みながら、進まなければならなかった人もいるかもしれない。
私も、一緒だったよ。
ひとりでやった方が気を使わなくて済むと思ってた。
自分の思いを上手に伝えられなくて悔しかった。
チームの役に立てていないと落ち込み、自信を持ってなかった。
早く行きたければ、ひとりで行け。
遠くまで行きたければ、みんなで行け。
本当にその通りだ。
嵐だって、最初から今の嵐ではなかったはずだ。
デビュー前に辞めようとしていた人も居たし、半ば騙されて加入した人もいるし、もしパスポートがなければデビュー会見に行けなかった人もいる。
偶然のチームだったのかもしれない。
最初はちぐはぐだったのかもしれない。
「5人で嵐。」
今では、彼らの合い言葉だ。
きっと5人だから20年走ってこられたんだ。
たまには休みながら、そして、これからも遠くまで、一緒に。
2020年、「出発の日」。
玄関を勢いよく飛び出したくなる気持ちのまま、オンライン参加を選んだ。
直接会えなくても、みんなとのつながりは消えないと思えたからだ。
だけど、いつか直接お礼を言いたいし、一緒に乾杯もしたい。
その「いつか」がパワーの源になる。
未来への線路はどこまでも続いているんだ。
どこに居ても、いつからでも、出発できる。
私たちの「待ち合わせ」は、まだまだ始まったばかりだ。