【空展】隣の芝生も青い ▽屈ノ丞
言葉にならない感情を何にぶつけても許される年頃は、当の昔に過ぎた。だからといって、行き場のない感情を放出しないまま、何事もなかったかのように、ただいつもの日常を送れるほど器用でもない。
誰も解決してくれない。何も解決してくれない。
気付けば彼らは空を見上げていた。
今すぐにでも引き剝がしたい塊を抱え、不格好な階段を上り、殺風景な展望台にポツンと佇む二つのベンチに腰を落とし、そして、空を仰ぐ――。
サキタコヨハルは、展望台へと続く階段を駆け上がった。喉が渇き、独特