石原裕次郎 いつも何かに耐えていた 石原良純 100周年記念企画「100年の100人」
昭和の大スター石原裕次郎は1987年、52歳の若さで逝った。甥の石原良純氏は、晩年の裕次郎から“男の生き様”を学んだという。/文・石原良純(俳優)
石原さん
太陽のように輝き、朗らかに笑い、豪胆に酒を飲む——。
皆がイメージするこんな「裕ちゃん」を僕は見ていません。甥と叔父という関係よりも、僕が入った石原プロの社長と言った方がしっくりきます。そして、僕が見た石原裕次郎の姿は、いつも何かに耐えているような、どこか影のある印象でした。
社長が晩年、病気療養のためにハワイの別荘に滞在しているとき、家族を代表してお見舞いに行ったことがあります。太陽が燦燦と照り付けるワイアラエのビーチに佇むコテージ。そのプールサイドからは長い砂浜が見えるのですが、真っ黒に日焼けした石原裕次郎は、そこで1日中何もせずに座っていました。
やがて自分に死をもたらすであろう病を抱え、じっと耐えている時間。言葉をかけることもできず、僕はただそれを見ているだけでした。
石原裕次郎
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