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高峰秀子 大女優が書いた2時間ドラマ 石井ふく子 100周年記念企画「100年の100人」
エッセイの名手としても知られた女優の高峰秀子(1924~2010)は、生涯に1本だけ脚本を書いている。それは、テレビプロデューサー石井ふく子氏の母をモデルにしたテレビドラマだった。/文・石井ふく子(テレビプロデューサー)
石井さん
この写真(左下)は、私の母の葬儀のときのものです。高峰秀子さんと母は「かあちゃん」「秀ちゃん」と呼び合う仲で、私より親娘のようでした。昭和51年に母が亡くなったときはすぐに病院へ駆けつけてずっと付き添ってくださり、葬儀では位牌を持ってくだすったのです。情の細やかな方で、その後も私のことを何かと気遣っていただきました。
母は東京・下谷の芸者を辞めたあと、三味線と小唄の師匠をしていました。天真爛漫な性格が慕われて、森光子さんや大原麗子さんなど、たくさんの方が赤坂にあった我が家へ見えていました。けれども母のほうからお宅へお邪魔していたのは、高峰さんだけだったはずです。脚本家の松山善三さんと結婚されたときは、お母様が着る留袖と丸帯を、母が用意したそうです。
高峰秀子
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