井伏鱒二 松茸のつくだ煮
先生のご自宅をお訪ねしたのは昭和47年、私が早稲田大学1年生の時だ。公衆電話から、全く面識がない先生に電話をすると、直接、出られて、「今からいらっしゃい」と言って下さった。ご自宅は豪邸ではなく平屋で、格子戸に「井伏」と書かれた名刺が表札代わりに画鋲で留められていた。尋ねると「よく盗まれるんでね」と先生はおっしゃった。通された書斎の机には翻訳中のドリトル先生の本が積まれていた。
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