剣と本と仮面ライダー|高橋一浩
文・高橋一浩(東映プロデューサー)
2020年9月6日から放送を開始した「仮面ライダーセイバー」。令和2作目となるライダーは文豪にして剣豪だ。主人公の神山飛羽真(とうま)は、本が大好きな人物で、小説家でありながら書店も営んでいる。
本作の企画は昨年秋、石森プロ、脚本家、代理店、放送局のチームでスタートした。企画を考えるにあたって意識したのが、人と人との繋がりが持つ力を、子どもたちに伝えることだった。
物理的な距離だけではない。時間をも越える想いと関係を、身近な幼馴染や友達といった登場人物で描きたかった。それを子供や、一緒に番組を見る親の世代にも感じてほしかった。そして、奇しくもコロナ禍によって「離れている人とのつながり」の重みが浮き彫りになった。このテーマを今こそ描きたいと、思いを強くした。
石ノ森章太郎の原作を元に、「仮面ライダー」は1971年からテレビ放送が始まった。子供向けの番組ではあったが、「本郷猛(ほんごうたけし)は改造人間である」というナレーションにあるように、テクノロジーによって人ならざる者となり、人を超えた力を手にした者の葛藤と、彼らが戦う理由を描いてきた。
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