連載小説「李王家の縁談」#16 |林真理子
【前号まで】
昭和十二年(一九三七)からの戦争は、終わるどころかますます激しくなっている。それでも人々は日本の勝利を疑わなかった。迎えた昭和二十年五月二十四日。けたたましいサイレンがB29の襲来を報せたその晩、伊都子が暮らした気品溢るる七百坪もの梨本宮邸は、戦火にのまれていったのだった。
★前回の話を読む。
ここから先は
8,457字
noteで展開する「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了します。同じ記事は、新サービス「文藝春秋 電子版」でお読みいただけます。新規登録なら「月あたり450円」から。詳しくはこちら→ https://bunshun.jp/bungeishunju
文藝春秋digital
¥900 / 月
月刊誌『文藝春秋』の特集記事を中心に配信。月額900円。(「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了します。今後は、新規登録なら「…