宇宙開発の危機を乗り越える 水野倫之
これまで20年以上にわたり日本の宇宙開発を取材してきたが、いまほど危機的な状況は経験がない。今年3月、新型の大型ロケットH3初号機が打ち上げに失敗。半年前には小型のイプシロンロケットも失敗しており、大型、小型ともに信頼性が失われた。影響は現行のロケットにも及ぶ。H2AはH3と共通の機器を搭載するため、当面の運用停止が決定した。つまり、日本ではいま、すべての主力ロケットの運用が見通せず、衛星を打ち上げられない国となっているわけだ。もちろん過去にも失敗が続いたことはある。しかし、世界の宇宙ビジネスは以前と比べものにならないほど進展が早く、もたついていると日本だけ取り残される恐れすらある。
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