中西輝政 三つの転機に三冊の歴史書
小生すでに年を取ってはいても、この先、新しい本に出会い人生が変わるような経験をしないとも限らない。
とはいえ、この50年ほどたしかに学者として国際政治の歴史を研究し、その関連で時事的な評論も、ものしてきた。だから、この人生を振り返りそのような道に自らを進ませるきっかけとなった本を、自己紹介を兼ね取り上げることにする。
私の場合、そこには若い頃の3つの「転機」らしきものが3冊の本(あるいは全集)に深く関わっていたように思う。1つは、昭和30年代に刊行された中央公論社の旧版『世界の歴史』(全16巻)――今では新版もあるが、こちらの方が断然よい――である。高校時代に将来の進路を決める際、期末試験の前日でも偶々自宅にあった全巻のいずれかを取り出し、何度も読みふけっていたことを思い出す。
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