ニューヨーク・タイムズ、デジタル版の契約増 愚直に果たした「本来の役割」|浜田敬子
この1年間で、ニューヨーク・タイムズが約200万件も契約を増やしたという。タイムズに限らず、ワシントン・ポストなど米メディアが好調な理由は、一体何なのだろうか。(文・浜田敬子/ジャーナリスト)
【選んだニュース】NYT契約数、1年で200万件増(5月7日、朝日新聞)
浜田敬子さん
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先ごろニューヨーク・タイムズがこの1年間で、約200万件も契約を増やしたと報じられた(朝日新聞ほか)が、日本の新聞関係者はこの報道をどんな気持ちで見つめただろう。
この1年というと、新型コロナウイルスの感染拡大に加え、アメリカでは大統領選、ブラック・ライブズ・マター運動など何十年に一度というニュースが重なった年。大災害や歴史的な事件はニュースメディアにとって「勝負どき」だ。普段はあまりニュースを見ない人たちもニュースへの関心が高まるので、新規の読者獲得にもつながるし、メディアそのものの「地力」も試される。ニューヨーク・タイムズCEOも、「激動の大統領選や人種問題、新型コロナウイルスの感染拡大がジャーナリズムにかつてない需要を創出した」と話している。
日本でも、昨年3月ごろからニュースサイトなどへのアクセスは爆発的に増えた。私が昨年末まで統括編集長を務めていたビジネスインサイダージャパンだけでなく、他のネットメディアも「過去最高」のPVを達成していた。だがその勢いが定着したメディアは数えるほどだ。
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