![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/80998124/rectangle_large_type_2_7a5b31f49efe8bdfc650b2fc61e67153.png?width=1200)
日本語探偵「フコイダンの効果 国語辞典に書けるのか?」飯間浩明
国語辞典編纂者の飯間浩明さんが“日本語のフシギ”を解き明かしていくコラムです。
【ふ】「フコイダン」の効果 国語辞典に書けるのか
これを食べれば健康になる、と言わんばかりの商品が、入れ替わり立ち替わり現れます。「乳酸菌が何億個も入っている!」と強調する食品のCMを見ましたが、それってすごいのか。菌は微小だから、何億個ぐらいは普通に集まっていそう。どれだけの個数を摂取したらどうなる、という説明もありません。
フコイダン、という食物繊維がもてはやされるようになったのは、21世紀に入ってからのことです。コンブやワカメなどのぬるぬるに含まれる成分です。2011年の新聞広告には〈フコイダンには自ら傷ついた部分を修復し、外敵などから身を守り、抵抗力を増幅させる機能があるのです〉と、なんだかすごそうなことが書いてあります。
あまりにもよく見聞きするので、私たちの『三省堂国語辞典』第7版(14年刊行)にも「フコイダン」を入れることになりました。ちなみに、私はそれまで「セメダイン」と同様「フコダイン」だと思っていた、というのは余談です。
さて、説明を書く段階で、はたと困りました。〈コンブ・ワカメなどのぬるぬるした部分にふくまれる成分〉なのはいいとして、それだけでは、ことさら新しく辞書に載せる理由が分かりません。かといって、「抵抗力を高めると話題になっている」などと、広告の文言をそのまま引き写すわけにもいきません。
ここから先は
431字
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/54742002/profile_a2d1bc9047964b0b316ead227fc29140.png?fit=bounds&format=jpeg&quality=85&width=330)
noteで展開する「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了します。同じ記事は、新サービス「文藝春秋 電子版」でお読みいただけます。新規登録なら「月あたり450円」から。詳しくはこちら→ https://bunshun.jp/bungeishunju
文藝春秋digital
¥900 / 月
月刊誌『文藝春秋』の特集記事を中心に配信。月額900円。(「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了します。今後は、新規登録なら「…