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藤崎彩織 ねじねじ録|#2 大人の理解者

デビュー小説『ふたご』が直木賞候補となり、その文筆活動にも注目が集まる「SEKAI NO OWARI」Saoriこと藤崎彩織さん。日常の様々な出来事やバンドメンバーとの交流、そして今の社会に対して思うことなどを綴ります。

Photo by Takuya Nagamine
■藤崎彩織
1986年大阪府生まれ。2010年、突如音楽シーンに現れ、圧倒的なポップセンスとキャッチーな存在感で「セカオワ現象」と呼ばれるほどの認知を得た4人組バンド「SEKAI NO OWARI」ではSaoriとしてピアノ演奏を担当。研ぎ澄まされた感性を最大限に生かした演奏はデビュー以来絶大な支持を得ている。初小説『ふたご』が直木賞の候補になるなど、その文筆活動にも注目が集まっている。他の著書に『読書間奏文』がある。

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大人の理解者 

イマジナリーフレンドが欲しい、と思う事がある。
イマジナリーフレンドというのは空想の友人という意味だが、当人はそれを空想と自覚していない。たまに小説や漫画の題材になっていたり、私の心のベスト5に入るピクサーの映画「インサイド・ヘッド」にも登場する。
多くは子供の心の成長を支える仲間として機能する存在らしく、殆どの場合は幼少期に自然といなくなると言われている。

私はどの視点から見ても子供とは言えない年齢になってしまったけれど、大人だって心は不安定になるし、成長も続けている。落ち込んでいたら励まして欲しいし、上手く出来たら褒めて欲しい。
でも同時に、大人になると誰かに「こんな言葉を言って欲しい」と期待することに疲れてもくる。
私は新しい服を着ているのに「いいね」とか「どこで買ったの?」と言われないだけで、「似合ってないんだ」「やっぱやめればよかった」「もしかして笑われてる?」と思うような卑屈で自信のない所があるので、誰かに何も言われないだけですごく疲れている、ということが度々起きてしまう。
元々ポジティブに物事を考えられるタイプではなかったけれど、コロナウィルスによって人との会話が減った2020年は特に「こんな言葉を言って欲しい」と思う自分に辟易した年になった。
という訳で、私がくよくよする度にイマジナリーフレンドが「いいね」とか「似合ってるよ」という言葉をかけてくれるのなら、是非友達になりたいと思っている。

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