近藤サト 『曾根崎心中』が刺さる
「げにや安楽世界より。今此娑婆に示現して。我らがための観世音」
小学校高学年から岐阜の山中で世界文学全集や日本文学全集に読み耽っていた私は、谷崎や三島の描く大都会・東京への憧れに胸を膨らませていました。上京は1987年。バブル絶頂期です。日大芸術学部という変わり者集団の中で過ごしたせいもあったのか、華やかな時代には、恩恵を享受しつつどこか懐疑的でした。そこへグッと刺さったのが、近松門左衛門『曾根崎心中』です。
ここから先は
1,667字
noteで展開する「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了します。同じ記事は、新サービス「文藝春秋 電子版」でお読みいただけます。新規登録なら「月あたり450円」から。詳しくはこちら→ https://bunshun.jp/bungeishunju
文藝春秋digital
¥900 / 月
月刊誌『文藝春秋』の特集記事を中心に配信。月額900円。(「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了します。今後は、新規登録なら「…