数字の科学 匂い受容体の種類 佐藤健太郎
サイエンスライターの佐藤健太郎氏が世の中に存在する様々な「数字」のヒミツを分析します。
匂い受容体の種類=350~400種類
新型コロナウイルス感染による、嗅覚障害が問題となっている。多くの場合、治癒とともに嗅覚も回復するが、中には匂いをほとんど感じない状態が半年以上続くケースもあるという。嗅覚が失われる理由は、まだ十分に解明されていない。
実をいえば、嗅覚というもの自体の研究が、あまり進んでいるとはいえない。有り体に言えば、視覚や聴覚ほどなくても困らない感覚であるため、研究者の興味も引かないし研究費も下りないためだ。また、嗅覚の世界が非常に複雑なことも要因といえる。
匂いを感じ取る部分(受容体)は350~400種類もあるといわれ、1つの匂い物質がいくつもの受容体に結びついて匂いの情報を伝える。そして香り成分の種類は数多く、1杯のコーヒーだけで600種以上に及ぶという。多対多の相互作用であるため、解析は容易なことではない。
ここから先は
585字
noteで展開する「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了します。同じ記事は、新サービス「文藝春秋 電子版」でお読みいただけます。新規登録なら「月あたり450円」から。詳しくはこちら→ https://bunshun.jp/bungeishunju
文藝春秋digital
¥900 / 月
月刊誌『文藝春秋』の特集記事を中心に配信。月額900円。(「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了します。今後は、新規登録なら「…