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昭和歌謡の黄金時代を語ろう 都倉俊一
レコーディングの最中に、百恵の恋に気付きました/文・都倉俊一(文化庁長官)
昨年末の紅白歌合戦で『蛍の光』の指揮を務めるのも6年目になりました。何度やっても生放送ならではの緊張感は消えません。番組が23時45分ちょうどに終わるようにしなければいけないので、残り時間を意識しながら、関係者全員緊張して取り組んでいます。
近年の紅白については、内容をめぐって様々な議論を呼んでいるようですが、僕としてはこの番組の魅力は“偉大なるマンネリ”にあると思っています。かつてのように家族全員が一つのテレビを囲んで、歌声に聴き入る……そんな時代ではなくなったのかもしれません。それでも、いまだに“紅白歌手”という言葉があり、紅白出場が歌い手に箔をつけることにつながっている。それだけの権威と影響力のある番組には変わりはないのです。「ジェンダー平等の時代なんだから、男女を区別するのはおかしい」との意見もありますが、紅組と白組の対戦がないなら、いっそ番組ごとやめてしまったほうがいい。変に手を加えようとすると、どっちつかずになってしまい、70年以上続いてきた番組の権威を保てなくなるんじゃないかと思うんですよ。
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