名品探訪(11)「静謐の白いシャツ」
大人のワードローブにおいて最も欠かせない存在が、真っ白なシャツ。
その静けさ、そして清々しさこそが、袖を通した人物の内なる魅力を際立たせる。/文=山下英介、写真=渡辺修身、スタイリスト=櫻井賢之
Fray(フライ)
世界で最も上質なポプリン生地、緻密な縫製、身体と一体化するようなフィット感……。通人たちが究極のドレスシャツと口を揃える、北イタリアの名門ブランドによる一枚。ネクタイの収まりのよさで知られるセミワイドカラーは、ボタンを外して着ても優雅なカーブを崩さない。¥62,700(ストラスブルゴ カスタマーセンター☎0120-383-563)
白いシャツは “額縁” である。あなたという絵画を引き立てる一枚を選ぼう
大人の装いにおける主役とは洋服ではなく、着る人そのもの。そして、洋服とはそれ自体が主張する必要はなく、絵画を引き立てる額縁的存在であるべきだ。そんな額縁としてのあり方を最も極めたワードローブこそが、まっさらな白いシャツだろう。アメリカで購入したブルックス ブラザーズのポロカラーシャツの襟ボタンを、あえて外して着用したフィアット元会長のジャンニ・アニエッリ。同じレギュラーカラーのワイシャツを大量に注文し、そればかりを着続けた小津安二郎。各界の傑物たちは、微に入り細に入り白シャツにこだわった。生地や仕立ての流儀はそれぞれだが、その静かで無垢なる存在感は、彼らの人間性や魅力を、余すところなく表現したのだ。
ここで紹介する白シャツから、あなたという絵画を輝かせる“額縁”を、ぜひ見つけていただきたい。
フィアット元会長でイタリア屈指のダンディと名高いジャンニ・アニエッリは、ブルックス ブラザーズのポロカラーシャツを愛用。イタリアの企業人の間で、このシャツは大人気だった ©Eric BOUVET/Gettyimages
Brooks Brothers(ブルックス ブラザーズ)
アメリカを象徴する名門が1896年に発表した「ポロカラーシャツ」こそ、数多あるボタンダウンシャツの元祖。絶妙な襟のロールといい、洗うほど趣を増すオックスフォード生地といい、原点にして至高の一枚。スーツにもカジュアルにも合わせられる。左(メンズ)¥20,900、右(ウィメンズ)¥19,800(ブルックス ブラザーズ ジャパン☎0120-02-1818)
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