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2回見なければならない。ハエはハエー。


映画『ザ・フライ』を2回見た。

2回見ると、1回目では気付かなかったことに気付く。
2回見なければならない。

例えば、今回見た、ハエと人間が融合する映画『ザ・フライ』で、「女記者が家に帰ると、合鍵を持っている元恋人の編集長が、勝手に女記者の家に入ってシャワーを浴びている」というシーンがある。これは、1つの家に2人の人間がいる、1人の家に勝手に望まない人物が入っているという、つまりはハエ人間のメタファーになっているということに気が付いた。こういうことは、2回見ないと普通は気付かない。初見では、見ている最中に立ち止まって過去のあのシーンはこういう意味だったのか、みたいなことを考える余裕がない。2回見ないと普通は気付かない。この、「女記者が家に帰ると、合鍵を持っている元恋人の編集長が、勝手に女記者の家に入ってシャワーを浴びている」というシーンでは、編集長がハエなわけだ。シーンとしているところに、ブーンとやってきている。そうやって見ると、とても意味深いシーンだ。そして編集長はこう言う。「キミは無意識によりを戻したがっている」と。とても象徴的なセリフだ。合鍵を持っていると、家に入れる。つまり、あの転送ポッドは合鍵なわけだ。そしてこれらの話は、結婚とか妊娠とかの話でもある。



ほかに最近レンタルで2回見たのは『ブレードランナー2049』だが、こちらは、初見では3時間くらいある半分くらいまでは、物語の中に入っていけなかった。その原因は、最初の状況で、楽しむための情報量があまり与えられていなかったからだ。その情報は、半分くらいまで見ると、いや、全部見ないと、与えられない。1回目は分割して見たが、1回目を見終わったあと、すぐさま2回目を見始めたが、2回目は冒頭からおもしろかった。2回見てよかった。1回目では、公平な評価というものは、たぶん出来ないものなのだ。


さて、映画は、人生に喩えられることは、よくあるだろう。
人生も、2回あると言っていい。子供と大人。

『ザ・フライ』は、私が子供のころに、テレビのロードショーでやっていた。小さい頃だったので、タイトルはハッキリと覚えていたが、内容は全く覚えていなかった。こんな、なかなかにグロい表現だったとは。まったく覚えていない。今回子供のころの1回目から大人になって2回目、3回目と見たわけだが、自分が記憶していたシーンはなかった。何か白い天井の高いドーム状みたいな研究室のシーン。そういう記憶が、子供の頃に見た映画のシーンであった。そのシーンがこの映画だったはず、という、それを確かめるために見たということでもあったのだが。その記憶は、最初『エレファントマン』か『ザ・フライ』か?と思っていたが、どうやら『スパイダーマン』のような気がする。それくらいしか思い浮かばない。今回見直した『ザ・フライ』でのガラスを突き破って入ってくるシーンは覚えていた気がする。次は昔の『スパイダーマン』を見てその「何か白い天井の高いドーム状みたいな研究室のシーン」という記憶を確かめたい。
(子供の頃にみた「スパイダーマン」の放送時期を軽く調べてみると、どうもいまは見ることが困難な映画のようだった。あのシーンは謎のままだな……)


2022/11/14。

ハエは速えー。


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メタモル・あうと郎
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