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遠くの地域の自然に触れて、近くの地域の自然に振り返る

1ヶ月も経ってしまいましたが大阪市立自然史博物館の大阪自然史フェスティバルの記事です!
あ、ヘッダーは自然史博物館の隣にある長居植物園のマスコットの「しょくぽん」です。

多摩県から大阪への日帰り弾丸旅行でありました。

大阪自然史フェスとは、主に関西で自然関係の取り組みを行っている団体が大阪市立自然史博物館(以下、大阪自然史)に集まって、入場無料としたうえで展示即売会に近い形式で活動の紹介・普及を行うイベントです。
私も始祖鳥堂書店として数回出展したことがあります。関西ちゃうやないかい。あ、でも北海道や沖縄の団体も出展していますので。

大阪自然史のある長居公園は公園らしからぬ商業施設はできるわ木はむやみに切られるわで散々なのですが、生き残ったサクラの葉は一枚一枚紅葉を見せていました。

さて館内、まずは特別展会場です。

これはバードカービングの団体の展示です。標本ではなく彫刻作品ですが、鳥の姿や行動を表わす展示の手法として広く使われています。メジロだけでなく柿も彫っていて、身近な自然の一般的なイメージどおりかもしれませんね。まあ鳥だけでなく鳥の食べ物も彫るといったら、

こういうのもしっかりありますからね。ハイタカと、獲物は何だろう、キャプションにはありませんでした。

自然史フェスは自然(といいつつ実体としては「緑」と言い換えられるやつ)をのんびり愛でるみたいなものではなく、学術的興味や生態系の保全など、まさに博物館クラスの取り組みを扱う場なのです。最初に乗せた看板の左下にも最近宮古島で新たに発見された野外のゴキブリの姿があるくらいですからね。

これなんて変形菌の子実体のぬいぐるみ風模型です。何の何の何って?変形菌、面白い生き物ですよ。もちろん手前には実物の標本もあります。

実物の標本といえば台所にも世界中から多種多様な動植物が集まってきますね。じゃあ大阪みたいな大都市ではそういうものに頼らないと生き物に出会えないのかというと……、

全然そんなことはないわけです。こうして骨の標本という見た目にインパクトのある物体を作り出している団体以外にも、調査や普及、保全などの活動の成果をポスター発表している団体もたくさんあります。

本館前の広場から本館1階ホールにかけてのスペースも会場として使われています。広場のクジラの骨格、特に「ながすけ」という愛称の大きなナガスクジラの下に出展ブースがあり多くの人が集まる光景は自然史フェスを象徴するものになっています。
この広場の隅でまだ我慢できる程度の冷たさの風の中キッチンカーのピザを食べるのが自然史フェスの隠れた楽しみのひとつだったりします。

広場には公共施設のワークショップが多いような気がします。これは丹波竜化石工房の頭骨パズル。一番手前はタンバティタニスですね。

館内は個人出展者メインですが、やはり地域との関連は強めです。これはハンカチに古生物のスタンプを押せるというものですが、大阪自然史に展示されているものを中心に関西の古生物が選ばれています。

もちろん常設展示も見るのですが、今回は古生物のフロアで画家の田中秀介さんの個展を開くという試みが行われていました。同じフロアの展示を描いたものですが、展示物を自分とは全く異なる視点で見る人もいることが絵という形ではっきりと表され、何度も訪れた展示で標本の観察とは異なる新たな体験をすることができました。

出展者ではなく来館者として、日帰りとはいえゆっくり見て回ることができました。特別展の会場に加えて広場や1階まで出展ブースで埋められるほどの団体が集まるのはすごいことですし、それだけの団体が活動できるほど豊かな関西地域の自然も、団体の横のつながりが作られるのも素晴らしいです。
それに、個人的に縁のある博物館なのでたくさんのかたに温かくお声がけいただけて、本当にありがたいことです。

2020年・2021年と例のあれのせいで中止していた自然史フェスの灯がまた灯り、日帰りでも訪れる価値のある大事なひとときとなりました。

で。

私自身の見学や活動を振り返ってみると、色々な動水博を見学して各地域の財産である自然を垣間見、小説でもそれらの大事さを表現しようとはしてきたのですが、自分自身の住んでいる多摩県に関して何ができているかというと、そんなにないのですよね。
同じ多摩川流域に関連しているアキシマエンシスを見学したのと、「Lv100」第八十三話のためにニホンオオカミの史跡2つを見てみたくらいでしょうか。

自分の市の博物館が歴史中心で自然についての展示がないから……というのは言い訳で、自分の足で自然の中を歩くなりなんなりする余地はあるはずなのですよね。
その博物館にも少ないながらも自然に関する展示はありますし……、歴史に関する展示だなと思っても生き物の陰は紛れ込んでいます。
江戸時代に遺された水田の情景を描いた絵の中に、クチバシが下向きに曲がって脚があまり長くない水鳥……つまり、トキに見えるものの姿がありました。この辺りには江戸時代本当にトキがいたのでしょうか。調べる価値はありそうです。

実際何市なのかは、身の周りの自然についてしっかり紹介しようとなったときに明かしちゃうと思います。

動物園は多摩動と井の頭、水族館も井の頭とまだ手付かずの川崎水族館があるとして、化石関係は子供達に向けた科学館がいくつかあって特徴ある化石を展示しているようです。とりあえず気になるのは八王子の科学館に展示されているハチオウジゾウでしょうか。

そして植物園ですが、すぐ近くに非常に立派な植物園、神代植物公園がありながらつい最近まで行っていなかった体たらくなので、

さっそく自然史フェスの1週間後、11月27日に行ってきました。

様々な針葉樹!メタセコイアとコウヨウザンだけ飴色に紅葉しています。

咲き誇るダリアと晩秋の昆虫達!アキアカネもいました。

大変立派なバラの庭園!推しに似合う花ってなんだろうなとかしょうもないこと考えてました。

充実の温室には私の好きなビカクシダやフウリンブッソウゲ、

葉とつぼみが同時に伸びているという珍しい状況のショクダイオオコンニャク!普通は葉だけ伸ばして栄養を貯めてから花だけ咲くのです。先日無事咲いてしおれました。

そしてちょうど紅葉の時期でカエデ園が華やかになっていたのですが、

カエデ以上にシマサルスベリの紅葉に迫力を感じました。

こうして神代植物公園の見事な植物を堪能していましたらですね、

隣の植物多様性センターを見る時間が少ししか取れなくなってしまったんですね。

こっちのほうこそ地域の植物のことを詳しく展示していて、本来の目的からしたら見るべきものがたくさんあったんですけれどもね……!

これからここを含めてじっくり自分の地域の自然と付き合っていきたいと思います。


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