小ネタ 鳥羽水族館のステラーカイギュウ
どこかしらのSNSでつぶやいてもよかったんですがそれには長くなりそうなので記事で。ヘッダーの写真は鳥羽水族館ではなく名古屋市科学館の「絶滅動物研究所」展のときのものです。
ステラーカイギュウというのはジュゴンやマナティーの仲間(海牛類)の絶滅してしまった一種で、前2種が暖かいところに生息して海草(簡単に言うと水草のうち海に生えるもの)や水草などを食べるのに対してステラーカイギュウはベーリング海で海藻を食べていたんですね。
もちろん8m前後という巨体も大きな特徴でした。
珍しいことだらけのこの動物、体が大きくて浮きやすいことや海藻の間に暮らしていることでシャチやサメから身を守っていたんですが人間が船から刺してくるのには弱かったようで、ただでさえいわゆる氷河期が終わって数を減らしていたところに大航海時代の空腹の船乗り達にその肉を求められて発見から数十年で絶滅してしまったのですが。
ステラーカイギュウのWikipediaを眺めておりますと、ちょっと気になる一文が。
確かに鳥羽水族館はジュゴンもマナティーも飼育しているという海牛類に関しては類を見ない館です。
「作成が何度か試みられている」ってどんな風にだろうなと思いまして、「ステラーカイギュウ 鳥羽水族館」で検索してみました。(やり方が雑~)
すると、鳥羽水族館って定期刊行誌「TOBA SUPER AQUARIUM」のバックナンバーをPDFで公開しているんですね。
TOBA SUPER AQUARIUM バックナンバー 1995~1997
このうち、97年春号にステラーカイギュウの記事があります。生体ではなく標本について扱うコーナーですね。
この記事によると、まず1/20スケールの原型を飼育研究部で作成してから1/5スケールの大型模型を業者に依頼したものの、どうも出来が思わしくなかったようです。
依頼後の監修が行き届かなかったのでしょうか。掲載されている写真で見る限りは……、ヘッダーの名古屋市科学館のより特徴をとらえてるかもしれないですが、どうなんでしょう。
完全にジュゴンやマナティーの拡大というわけでもなく、いかんせん輪郭を把握しづらい動物ではあります。
「3度目のものは~」とあるものの、その3度でWikipediaのいうところの「何度か」なのかは疑問ですが、かつての鳥羽水の挑戦の足跡が辿れるのはとても価値のあることです。他の号もそうですね。
さて、ステラーカイギュウで検索すると、そのー、風説の流布、みたいなことが公然と行われているというか、人間の罪の重さに釣り合わない扱いになってしまっています。
鳥羽水族館の模型製作も少しでもステラーカイギュウの実態に迫って知見を広めるために行われたはずなんですけれどもね。
私はそういう鳥羽水族館の活動のようなアウトリーチを「行う側」ではなく「受ける側」であると自覚せねばならないのですが、それでも「受けた結果」を広めたいという願望はあるもので。
もう今は見られない東海大学自然史博物館でも、せっかくステラーカイギュウの骨格をしっかり見ましたからね。
「古生物飼育小説Lv100」の次の話にダイレクトに出るとかではないですが、まあ今後何かしらステラーカイギュウのことをします。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?