普通のふりして生きてきた~ちょっと病気がちな奴が健康なふりをしている回想録⑮~

~前回のあらすじ~

 手術室に入る前に病室で眠らせてくれ

術後

左副腎の手術に耐えた私は、その年のゴールデンウィークを病室で過ごした。

手術後は端が絡んで大変だった。事前に言われてたけど、思っていたのの数倍は大変だった。何故って生来、私は痰を上手にぺっできた事が無いのだ。

ベッドの上で、痰で気道がふさがりかけてナースコールを押した。

看護師さん「痰が絡んじゃったのね。これで吸い出しますよー」

そう言って看護師さんが取り出したるは、でっかい吸引機。そのチューブを私の口の中にぐいぐい押し込んで、その人は言う。「はい、ごっくんしてー」

無茶言うな。

だからといってチューブをごっくんできなかったら、痰が吸引できない。あの時は私結局どうしたんだっけか。何故だかその後を全然覚えてないんだが、チューブが苦しすぎて気絶でもしたんかな。

対照的な父と母

ゴールデンウィークに入って、母は頻繁に見舞いに来てくれるようになった。

我が家の父と母は、私の学生時代に離婚しているわけなのだが、単身赴任中の父が送ってくれるお金で私と姉は生活しており、そこに別生計の母が同居して私たちの世話をしてくれているという、なんとも面倒な関係を作っていた。

父は手術後間もない私の元に訪れて見舞金だけ渡して帰って行った。心臓の手術を経験している父は、そういう男であった。

逆に母は、幼いころに脳炎やら喘息やらやっている私が心配すぎて、傍を離れられなかった。今回の手術後も、次の様なやりとりばかりだった。

私「話過ぎて疲れた。ちょっと寝るわ……」

母「分かったよ。じゃあ、編み物してるね」

私「……(目を閉じる)」

母「……」

私「……」

母(唐突)「喉乾いてない?」

私「……(むかっ)乾いてないよ。それよりも寝たい」

母「わかったよ」

私「……(再び目を閉じる)」

母「……」

私「……」

母(脈絡皆無)「そういえば今日さぁ」

寝かせろや。(怒)

昔から、悪気なくそんな事をしちゃう人であった。俗に質が悪いとも言った。

二人なりに私の事をちゃんと愛してくれてるのだ。分かるんだけど二人共ある意味極端なんだよなぁ。足して二で割って丁度良くなってくれないかな、と思っている。

そんなこんなな入院生活。歩けるようになるまでに苦労した。

何が苦労したって血抜きのドレーン器具が歩行中に体ん中でぐりぐり動いて痛いのなんの。

痛すぎて歩行訓練嫌がってたら「そんなんじゃいつまでたっても元気になれないよ!」ておばちゃん看護師にめちゃめちゃ怒られた。

私だってこの器具が入ってなきゃもっと歩くわ(怒)

もうそのおばちゃんが嫌すぎたので、おばちゃんのいない日に訓練すごい」頑張って病棟の端から端まで歩いてやったら、その次の日からめちゃめちゃ動けるまでに回復しました。おばちゃん様様だけど絶対礼は言わねぇ。(今でも根に持ってる)

そんな頑張りもあり、普段通りの生活を送れるまでに回復したのでした。

でもたまにいまでも片足立ちで靴下はいてたら、お腹の左側にある手術痕がつってしまう。そんな私です。

まじでお腹がつった時のいい対処法を誰か教えてくれ。今の所お腹が攣ったらすぐにその場に寝転んで伸ばす様にしているんだが、職場の更衣室でやるのはめちゃめちゃ怪しいからさあ……


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