普通のふりして生きてきた~ちょっと病気がちな奴が健康なふりをしている回想録⑤~
~前回までのあらすじ~
いっけなーい、入院入院★
熱が上がるし骨髄注射するし、おまけに歯茎も腫れてるし、さすがにしんどいよぉ~。
衝撃の入院から一夜明け……。
朝から無菌室へ引っ越す事になりました。同室のおばあちゃんとは一夜限りでさよならして、一人きりの無菌室へ。洗面台もトイレもテレビも完備。お一人様にはこれ以上に完璧な住居はねえな!
具合悪いからテレビを観るわけでもなく、寝てるしかないんだけどね。
何をするでもなく、ご飯を食べてゴロゴロしているとノックが。
私「はぁい」
ドアが開いてぞろぞろと入ってきたのは、見知らぬお医者さんと看護師さんらしき人達。重そうなカメラバッグの様なものを持っている。
お医者さん「どーもー。歯医者でーす」
歯医者。
歯医者さん「歯茎が腫れてるから処置してくださいって、あなたの先生に頼まれたので来ましたー。ちょっとお口の中見せてねー」
歯医者が来るなんてのは聞いてなかったけど、言われるがままに、あーん、しました。
歯医者さん「あー、これは痛いねぇー。じゃ、横になって。がっつり治療しちゃうから、痛かったら手ぇ上げてね」
そして言われるがまま、小学生ぶりに歯医者の治療室みたいな体勢になり……。
歯医者さん「はい、じゃあ始めまーす。我慢できなかったら言ってねー」
まず隅々まで歯科検診。この歯医者さん、いきなり入ってきたけど、やっぱり普通のちゃんとした歯医者さんでホッ。
そして着々と準備は進み……
歯医者さん「はーい、歯垢落とすねー。ちょっと痛いよー」
シュゴォーッ。シュゴゴゴゴォーッ。チュイーッ、チュイッ、チュイイーンッ。
んひぃいぃぃぃぃぃぃぃっ!!(手の平でベッドを叩くアタイ)
歯医者さん「コレ(歯垢)、しぶといなぁ。痛いねぇ、ごめんねぇ」
シュゴォーッ。チュイッチュイッチュチュチュイーンッ。シュゴッ、チュイーンッ。チュチュイーンッ。イーン。イーン。
あがががが……!!!!(上がる右手)――――ゴホッ!
自分の歯垢で溺れかける32歳。
歯医者さん「ごめんごめん、苦しかったねえ。はい、吸引咥えてー。全部吸うよー」
そこで口の中に溜まった汚れを全部吸い出してもらい、下の歯が終わって折り返しに希望を見る私だったが、歯医者は甘くなかった。
チュイーンッ。チュイイーン。
んあいぁぃあぁぁぃ……!!
キュイーンッ。シュゴォーッ。
んのぉぉおおおおぉぉお……!!
チュイーンッ。チュイチュイーンッ。シュゴォーッ。
モウ殺シテ……。(諦め)
歯医者さん長かった。多分今までの人生の歯の治療で一番に長かった……。
最後のチュイーンが終わった私は、また放心していた。
歯医者さん「はい、頑張ったねー。キレイになりました」
洗面台の鏡の方に誘導されてイーッしてみると、まあ、なんということでしょう。すっかり腫れの引いた、血染めの歯茎。
すっげぇな……バッキバキに喧嘩した後みたい……(笑)
軽く歯磨き指導をしてもらった後、様子を見にまた来ますね、と言って歯医者さん達は帰って行きました。
しばらく食べるの怖かった……血の味がしそうで。(笑)
とはいえ噛むのも痛くなくなった私は、指導どおりに毎日歯を磨くのでした。
次回「胃カメラって……それ!?」をご期待下さい。
神からの投げ銭受け付けてます。主に私の治療費や本を買うお金、あと納豆を買うお金に変わります。