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Re:diary:『いざ地底旅行へ』(2010)

ある科学者が居ました。
その科学者はとても優秀で探求心旺盛な人でした。

天才と言われる彼の発想力と技術力、そして飽くなき情熱は世界のあらゆる場所へ冒険すると言う形で示し、いつしかその好奇心は表面上の世界ではない前人未踏の果てへと、探求の矛先を向けて行ったのです。

ある日、彼が独自に開発した切削機が火山で興味深いものを掘り当てました。

地底へと繋がる道を発見したのです。
科学者は歓喜しました。


もしかしたらここから『地球の中心へ向かう旅』が始まるのかもしれないと。

科学者はクルーを総動員して、この道の続きを追い求めて行きました。
しかしその火山は活火山…。常に危険と隣り合わせの状態ながら慎重に慎重に深部へと、時間を掛けて進みました。

そしてある時、大きな縦穴を見つけます。
その下には大きな空洞が…。

探求心は膨れ上がりました。

彼はすぐさま巨大なエレベーターを発明、縦穴に設置し地底800m下の空洞をベースステーション(拠点)として更なる地底探索を行う事にしました。

切削機を駆使しながら探索を続けて行くと、人知の及ばぬ未知の世界が眼前に現れます。

科学者はついに到達した新世界を見て、思いました。

この素晴らしい世界を、この感動を多くの人々と分かち合いたい。

彼は次にどんな悪路でも走行出来る車を発明し、ベースステーションから地底を観光するツアーを思い付きます。

しかしそこは活火山。

あくまでお客様に安全なツアーを提供する為、地下と地上を繋ぐコミュニティブースを設け、常に火山活動を伝えられるよう、最新の注意を払って行われました。

そしてついに。
地底探索ツアー『Journey to the Center of the Earth』が完成しました。

…しかし科学者は若干の不安を感じていました。

採算? 違う。火山の事? それも違う。

ある日たまたま見つけた、不思議な卵の存在だ。

クルーは口々に言う。
きっと地底の奥にはきっと怪物が居るんだと。
卵はその怪物の卵なんだと。
バカな、地球が出来てどれだけ経っているんだ。仮に居たとしても、今はもう絶滅してるに決まってる。

科学者は恐怖に似た高揚を示すクルーを軽くたしなめたが、彼もまた畏れていた。
独自の進化を遂げた生物が地底にも居ると。

海底2万リーグで、彼は実際にそれを見たのだから。

…地底探索ツアー当日。

お客さんは火山に入るとまず突き刺さった切削機を見つける、その先端から視線を追って行くとドリルと全く同じ形をした入口が開いていた。

これこそが地底旅行の出発点なのである。

ドリルの痕が途切れると目の前に熱が噴出する溶岩が露出する洞窟があった。
その一帯は『溶岩の聖域~マグマサンクタム』と呼ばれる。
ちょっとした部屋もありそこには地底を研究したノートや見たこともないアイテムが並べられており、そこが科学者の小部屋だった事を物語る。

地下の火山活動が激しい時は、この一帯を紹介するツアーを行う事もあるそうだ。

…更に奥へと進み、巨大なエレベーターで地下へ降りると、そこには地底走行車が待ち構えていた。
お客さんはクルーの案内を受けて乗り物に乗り、素晴らしき地底旅行へ出発する。

だが、クルーは知らなかった。
地上と地下を、火山活動の状況を交信するはずのコミュニティブースに人が居なかった事を。

マイクから漏れる声には明らかな焦りが見えていた。

『火山活動発生、火山活動発生、ただちに中止せよ』と。

けたたましく鳴る警報音に誰1人気付く事なく、シグナルを地上に送る事も出来ず、クルーは次々と訪れるゲストを地底走行車に乗せて、出発させてしまうのだった。


…この物語は作家ジュール・ヴェルヌが書いた「地底旅行」と云う冒険小説が基になっている東京ディズニーシーのアトラクション「センターオブジアース」のバックグラウンドストーリーです。

ディズニーにある箇所それぞれにバックグラウンドストーリーが存在しているのはご存知だったでしょうか?

単なる乗り物…スリルライドではない、アトラクションではなくテーマに沿った世界観を感じられる事もディズニーの魅力であると言えます。

しかし実のところ小説に天才科学者は出てこないし、内容も違う。同名映画とも少し違います。
(映画は個人的にとても好きです)

さてこのアトラクションですが、実際体験する所は限られております。

まず水晶の洞窟に行き、発光生物のトンネルを抜ける。
その後に巨大キノコの森を通過した所でルートを外れ、未踏の地へと進路を向けてしまいます。

ただ本当のルートでは、巨大な鍾乳洞が形成した「大聖堂」と呼ばれる場所や、水が燃え上がる「火の湖」、「黒曜石の滝」、石が浮いている「軽石の橋(映画は出てくる)」など様々な場所へ行く予定だったのですね。

それもキューライン(導線)とかとかにヒントらしいものが散らばっています。
ただ待つだけでもなければファストパスで突っ切ると見る事が出来ない部分もあったりして、色々な楽しみ方が出来ちゃう。

もし行かれる方、細かい部分も観察してみて十二分に楽しんでみてください。


編集後期:
過去の日記から出てきたので、久しぶりに載せてみました。
僕はマニアと云う程では無いですが家から近かった事もあってディズニーが日常にありました。

もうだいぶ昔だから時効だろと言う所で、学生時代…そしてその数年後にキャストとして染まっていた時もあります。

これまで公開した身の上話を読んでくださってる方からしたら「お前どんだけ色々やってるんだ」と思うでしょう(笑)

僕は20代を自分の可能性に費やし過ぎた人間なので、まだまだ色々あります。決して誇らしいものでは無いですが。

でも仕事観や大切な事、エンターテイメントも含めて、僕はディズニーによって造られたと言っても良いです。
そのエンターテイメントを盗もうとアトラクションのスピールを録音して覚えてをしていたくらいに。

その中でも感銘を受けたバックグラウンドストーリーの中のひとつとして紹介させて頂きました。
(完コピスピールはたぶん今も持ってる(笑))

この時期でディズニーに行くのは至難の業です。僕は全然行けてません。
ただディズニーを単にデートスポットとか遊園地と捉えず、エンターテイメントと独創性、作り込みのメッカとして捉えると素晴らしい施設であると言う事を、特に「ディズニー嫌いの方」に理解頂けたら幸いです。

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百舌鳥(もず)
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