見出し画像

宗教2世と付き合っていた頃の話

もう20年以上前の話。
当時付き合っていた彼氏がいわゆる宗教2世だった。

わたしは当時まだ20代前半。彼も20代だった。彼の信仰していた?宗教は、政治や宗教について特定のこだわりがないわたしでも聞いたことはある名前だった。

記憶はもう曖昧だが、早いタイミングで彼にはその事実を伝えられていたような気がする。
両親は活動に熱心で、幼い頃は自分も連れられて参加していた。だがいまは、自分にはそう強い信仰はない、とかなんとか…。
それを聞いてなにかわたしの気持ちが変わることはなかった。わたしの気持ちの強さうんぬんより、それほどに彼の暮らしにはわたしとの信仰的な違いなど感じられなかったのだ。

少し違和感を覚えた出来事はあった。

20歳になり選挙権を持ったばかりであったわたしはそう何度も選挙の経験はなかった。とある選挙で、彼から特定の政党に入れてほしい、と言われた。彼の母からもお願いされている、とも。わたしは深く考えずあいまいに返事をした。

その頃から選挙には行っていた。政治に強い関心はなくとも社会にとって一人前であることを主張したかったのかもしれない。ベイビーボーイ、わたしはここにいるよ、である。
そして決めていたこと、それは白紙で出すことだった。
特に支持政党がなく、どこにも投票したくないと思うならば、白紙で投票用紙を出すことが意思表示になると聞いたことがあった。
その時、わたしは行かねば!選挙に行くのだ!と強く思ったのである。まるで何も考えずに。何も調べてないくせに白紙の主張とはどうかしている。その時はあのユポ紙で出来た投票用紙の書き滑りの良さを知らない。

選挙後、彼にどこに投票したのかを聞かれた。
わたしは答える、胸を張って「白紙で出した」と。
彼はそこで、明らかに不機嫌になった。
かなり穏やかで優しい人であったのに。
そして、白紙で出すくらいならどうして僕の、母の、お願いを聞いてくれなかったのか、と言った。わたしも若さからなんらかの主張をした記憶はあるが、なんとなく分かり合えなさを感じた出来事であった。

数年後、彼とは別れた。
この件とはまったく別の理由であったが、時が過ぎて振り返ると、この出来事は2人が人生を共にすることになっていたならば、やはりとても大きな影響を及ぼしたのではないか、と思う。

彼はどこかで元気で過ごしていてほしい、とわたしは神に仏にキリストに手を合わせることができるほどに都合の良い生き方をしている。
彼には理解できないかもしれない。

いいなと思ったら応援しよう!