おたすけ 『虎の巻』
八つのほこり
人間は、神様のご守護で、身体自由に適うことを知らずに、わがまま、わがものとという心得違いがあり、これをほこりと申します。
①ほしい
丹精して価を出してほしいは、よろしいなれど
価を出さずしてほしがるはほこり。
商法なれば、身を働いて儲けるはよろしいなれど、働かずして儲けるが、ほこり。
※分限にすぎたるものをほしいと思う。人の物を見てほしいと思う。己が身分を思わず、足納をせずしてほしいと思う心。
心も尽くさず、身も働かずして、金銭を欲しがり、不相応に良き物を着たがり、食べたがり、あるが上にも欲しがる心。
②をしい
我がもの棄たらぬように始末するはよろしいなれど、返すもの返さず、出すべきもの出さぬがほこり。
※おさめねばならぬものを、惜しいと思い、かやさねばならぬものを惜しいと思い、人に貸すものを惜しいと思い、ぎりをするのを惜しいと思い、人の為にひまを費やすのを惜しいと思い、すべて出すべきものを惜しいと思う。
人の助かること、人の為になることに費やすものごとを惜しいと思う。
又身惜みという、横着する心。
心の働き、身の働きを惜しみ、税金など納めるべき物を出し惜しみ、世のため、道のため、人のためにすべき相応の務めを欠き、借りたる物を返すのを惜しみ、嫌な事を人にさせて、自分は楽をしたいという心。出し惜しみ、骨惜しみの心遣い。
③かわい
我が子可愛いはよろしいなれど、人の子可愛いがらず、隔てるがほこり。身贔屓、身勝手から愛に溺れるのが、ほこり。
※愛情に引かされたり、溺れたりする。愛着心と、今一つ、誰彼のへだてして、その者に限り、別段に可愛いという偏愛心。
わが身さえ良ければ、人はどうでもよいという心。わが子を甘やかして食べ物、着る物の好き嫌いを言わし、仕込むべき事も仕込まず、間違った事も意見せず、気ままにさせておくのもよろしくありません。わが身を思って、人を悪く言うのもほこり。
④にくい
罪を憎みて、人を憎まぬはよろしいなれど、理を非に曲げてでも、人を憎む様な事が、ほこり。
※われの気にのらん、虫がすかんとて、罪もなきものをにくいと思い、そそうをしたり、あやまちがあったからとて、にくいと思い、われに無礼をしたとてにくいと思い、すべて、自分の気ままの心、邪険の心から、人をにくいと思う心。
自分のためを思って言ってくれる人に、かえって気を悪くして反感を持ち、自分の気に入らない、癪に障ると人を毛嫌いし、陰口を言って、そしり笑うような心。銘々の身勝手から夫婦、親子など身内同士が、いがみ合うのもほこり。
⑤うらみ
人より我に不義をせらるるとも、我が身、我が心の至らぬところを恨むはよろしいなれど、我が身の前々を思わず、人を恨むが、ほこり。
※己の思惑を邪魔されたとてうらみ、人を不親切だというてうらみ、人の親切もかえってあだにとってうらみ、人のそそうも、意地からしたように思うてうらみ、己のあしきを省みず、人をうらむは勿論、すべては因縁の理かるなるという理を悟らずに、只人をあしく思うてうらむがほこり。
顔をつぶされたとて人を恨み、望みを妨げられたとて人を恨み、誰がどう言ったとて人を恨み、根に持ち、銘々、知恵・力の足りないことや、徳のないことを思わず、人を恨むほこり。
人を恨む前に、わが身を省みること。
⑥はらだち
理を立てて腹を立てぬはよろしいなれど、自分の気侭、勝手、癇癪から腹を立て、また人を腹立てさすが、ほこり。
※人が自分の気に入らぬ事をいったとてはらたち、まちがった事をしたとて、はら立ち、自分がおもしろくない為に、さもなきことに腹立ち、すべて、広く大きい心を持たず、かんにん、辛抱をせずして、気短な心から、はらたてるほこり。
腹が立つのは気ままから、心が澄まぬから。
人が悪い事を言ったとて腹を立て、誰がどうしたとて腹を立て、自分の主張を通し、相手の言い分に耳を貸そうとしないから、腹が立つ。
腹を立てず、天の理を立てる。短期や癇癪は、自分の徳を落とすだけでなく、命を損なうことがある。
⑦よく
家業丹精して、徳を求めるはよろしいなれど、強欲、貪欲というて、商法なれば、あたりまえ口銭の上へ、また、桝目、秤目で得をとるのが、ほこり。
※人並みよりは、よけいに己が身につけたいという心、理にかなわんでも、人が許さんでも、取得る限りは取り込みたいという心。一つかみに無理なもうけ、不義なもうけをしたいという心、あるが上にも何ぼでも、わがものとしておきたい心。すべて欲の深い人やと言われるような心と豪鬼強欲のいうような欲がほこり。
人より多く身につけたい、何が何でも取れるだけ取りたいという心。人の目を盗んで数量をごまかし、人の物を取り込み、無理な儲けを図り、暴利をむさぼる。価を出さずわがものにするのは強欲。また色情に溺れるのは色欲。
⑧こうまん
何も不自由なし、身体まめで、物よく覚えるは、天より恩をいただき、先祖親々のおかげと思えばよろしいなれど、我が身高ぶり、俺が、わしがと言うて、人を見下げるは、ほこり。
※知らぬことも知った顔で通したい。自分の非は理にして通りたい。人のいいことは、なるべく打ち消したい、逆らいたいというような心。
あの人はえらそうにする人やとか、あの人は我が強い人やとか、言われるような、高ぶる心と強情とは、こうまんのほこり。
思い上がってうぬぼれ、威張り、冨や地位をかさに着て、人を見下し、踏みつけにするような心。また、目上に媚び、弱い物をいじめ、頭の良いのを鼻にかけて、人を侮り、知ったかぶりし、人の欠点ばかり探すこうまんのほこり。
⑨うそ
⑩ついしょう
口美しくて、真の心きたなきは、ほこり。
(八つのほかのほこり)
十全の守護
親神様は陽気ぐらしを楽しみに、この世人間をお造りくだされ、御守護くださる
元の神様、実の神様である。
この親神様の十全なる御守護を十に分け、それぞれに神名を配して、お説き分けくださっている。
①くにとこたちのみこと
天では「月様」
人間身の内の眼、うるおい
世界では水の守護の理
②をもたりのみこと
天では「日様」
人間身の内のぬくみ
世界では火の守護の理
③くにさづちのみこと
人間身の内の女一の道具
皮つなぎ
世界では万つなぎの守護の理
金銭、縁談
④月よみのみこと
人間身の内の男一の道具
骨つっぱり
世界では万つっぱりの守護の理
立毛草木、地上よりや自ずら立っているもの
⑤くもよみのみこと
人間身の内の飲み食い出入り
世界では水気上げ下げの守護の理
⑥かしこねのみこと
人間身の内の息吹き分け
世界では風の守護の理
⑦たいしょく天のみこと
出産の時、親と子の胎縁を切り
出直しの時、息を引き取る世話
世界では切ること一切の守護の理
種物の芽はらをはじめその他
⑧をふとのべのみこと
出産の時、親の胎内から子を引き出す世話
世界では引き出し一切の守護の理
立毛の引き出しをはじめその他
※人間生まれる時
「たいしょく天のみこと」
親子の胎縁を切る御守護
「をふとのべのみこと」
引き出しの御守護
生まれた後は
「くにさづちのみこと」
元々通りあとじまいの御守護
『をびや三神』
⑨いざなぎのみこと
男雛型・種の理
⑩いざなみのみこと
女雛型・苗代の理
※私たちの身体は親神様の日々の御守護により、目で物を見分け、耳で聞き分け、鼻で嗅ぎ分け、口で噛み分け、手で働き、足で歩きと思いのままに使わせて頂ける。
親神様が世界人間を始め、立毛草木、その他よろず一切を御創造め下され、又日夜おやすみなく御守護下さいますので自由自在が叶う。
親神『天理王命様』こそ「元の神・実の神」にてあらさられるこの世人間の親神様。