ないんじゃなくて選べない
後悔するけど、たぶん時間を巻き戻しても同じ選択をすると思う。
会社で面談があった。
査定の話が終わったあとに、「会社にすごく不満があるとかないですか」と聞かれる。「そういうことはないです」と答える。本音だ。
そのあと「やりたいこととかありますか」と聞かれる。ある。いや、あるはずだ。答えを探すけど、ちっともまとまらない。唸ったあとに思考の断片を吐きだすも、結局なにがいいたいのか伝わらないし、自分でもわからない。
僕のあとに同僚も面談した。終わってからすぐに「〇〇さん(先輩)、今度あの業務やるときは△△さん(同僚)と一緒にやってあげてください」と上司がお願いしていた。同僚はやりたいことをしっかり伝えられたのだろう。うらやましいと思った。僕もあんなふうに、やりたいことをやるチャンスを得たかったのに、それができなかった。
やりたくないことはある。やってみたら、「これはやりたくなかったんだな」というのがわかるから。伝えられる。
やりたいこともある。でも、いっぱいある。だって、やったことのないことは全部、やってみないとわからないじゃないか。「おもしろくなさそうだな〜」と思っていたことも、案外おもしろいかもしれない。苦手なことに似ていたって、どこかそれとは違う、おもしろい部分があるかもしれない。
でも時間は有限だ。僕のキャパシティだって有限だ。他のすべてをなげうって、それらすべてに力を注げるかといわれたら自信がない。かといって、どれがいちばんやりたいのかといわれても簡単には選べない。いまはいちばんだと思っていても、やってみたらあまりおもしろくないかもしれない。後悔してしまうかもしれない。
やりたいことがないんじゃない。ありすぎて選べないのだ。目測を誤ってハマった沼から抜け出せなくなるのはごめんだ。
ただ、こんなことを考えているうちにチャンスを逃し続けるのはもっとごめんだ。
ひとつずつやってみよう。腰をすえて。やりたいかといわれたら、ほんとうにやりたくないこと以外、なんでもやりたいといってみよう。
脱皮したいのだ。新しい景色がみたいのだ。パズルのピースみたいに、なくてはならなくなりたいのだ。
ひとつひとつが薄くたっていい。薄味を集めに集めてから、甘いのが好きかしょっぱいのが好きか考えることにしよう。
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