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「大暑です。紐が一本垂れてます。」

大暑たいしょです。ひも一本いっぽんれてます。」

 ブルーのフラシ天張りの椅子のクッションの下に、それは隠してあった。
 彼女はおずおずと手探りするものの、すぐに指を引っ込める。焼けつく熱さを感じたような気がして。
 ダメ! そんなこと起こりっこない。バカな考えはやめないと。

ジョイス・キャロル・オーツ『午前11時に会いましょう』
エドワード・ホッパー《午前11時》1926年

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