霍乱の夏の深みに嘔吐して 3 IZU 2024年8月5日 11:00 霍乱かくらんの夏なつの深ふかみに嘔吐おうとして実存が突如その姿を現していた。それは抽象的な範疇としての無害な見かけをなくしていた。それは物の生地そのものだった、この木の根は実存のなかで捏ねられていた。というかむしろ、木の根、庭の鉄柵、うっすらとした芝草、こういったものはすべて消え失せていた。物の多様性、物の個別性といったものは、単なる見かけ、うわべのニスにすぎなかった。そのニスは溶けてしまい、あとには、奇怪な、ぶよぶよの、無秩序の塊だけが残っていた──むき出しの塊、ぞっとする卑猥な裸体の塊だけが。サルトル『嘔吐』ジョアン・ミロ《カタルーニャの風景(ハンター)》1923年 ダウンロード copy いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する #音楽 #俳句 #絵画 #夏深し #霍乱 3