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霍乱の夏の深みに嘔吐して

霍乱かくらんなつふかみに嘔吐おうとして

実存が突如その姿を現していた。それは抽象的な範疇としての無害な見かけをなくしていた。それは物の生地そのものだった、この木の根は実存のなかで捏ねられていた。というかむしろ、木の根、庭の鉄柵、うっすらとした芝草、こういったものはすべて消え失せていた。物の多様性、物の個別性といったものは、単なる見かけ、うわべのニスにすぎなかった。そのニスは溶けてしまい、あとには、奇怪な、ぶよぶよの、無秩序の塊だけが残っていた──むき出しの塊、ぞっとする卑猥な裸体の塊だけが。

サルトル『嘔吐』
ジョアン・ミロ
《カタルーニャの風景(ハンター)》1923年

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