雨月にて一枝の菊と薄き酒 10 IZU 2023年9月29日 18:10 雨月うげつにて一枝いっしの菊と薄き酒此の約にたがふものならば、賢弟吾を何ものとかせんと、ひたすら思ひ沈めども遁るゝに方なし。いにしへの人のいふ。人一日に千里をゆくことあたはず。魂よく一日に千里をもゆくと。此のことわりを思ひ出て、みづから刄に伏し、今夜陰風に乘てはるばる來り菊花の約に赴く。この心をあはれみ玉へといひをはりて、泪わき出づるが如し。今は永きわかれなり。只母公によくつかへ給へとて、座を立つと見しが、かき消えて見えずなりにける。上田秋成『雨月物語』菊花の約オルガ・ボズナンスカ《菊の花を持つ少女》1894年クラフク国立美術館 ダウンロード copy #音楽 #俳句 #絵画 #雨月物語 10 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? サポート