『プロンプトエンジニア』には気をつけた方がいい?良いプロンプトを書くコツ
AI検索だけでなく普段の生成AI活用では、良いプロンプトを書くこと、がまだまだ重要です。(*そのうちプロンプトを工夫しなくてもAIが意図を汲んでくれるようになるかもしれませんが…)
このNoteでは、良いプロンプトを書くための具体的なコツと、そのために必要なプロンプトの考え方について、「プロンプトエンジニア」を題材に紹介します。
■『プロンプトエンジニア』とは何者なのか?
「今さら???」という反応をされる方も多いかもしれませんが、改めてプロンプトエンジニアとは何か、世間に浸透しているイメージと、本来的な意味合いについて整理しました。
・世間に浸透しているイメージ
「良いプロンプトを書く人」または「プロンプト集を配布している人」
・本来的な意味合い
「人間とAIとの会話の効果的な枠組み、それ自体を構築・検証している人」
あくまでも経験上ですが、「自称プロンプトエンジニア」が発信している情報の多くは、既存情報の焼き増し・生成AIのコピペだったりします。😢
つまり、プロンプトエンジニアリングとは、AIがユーザーの意図を理解し、最適な応答を生成するための構造や仕組みを設計する技術です。
"良いプロンプトを書く" テクニックは、その一部でしかありません。
1. プロンプトエンジニアの本来的な役割
以下のような役割が含まれます。
対話フレームワークの構築:Chain-of-Thought(CoT)を例に挙げると、AIが段階的に解決できるようなプロンプトの仕組みの構築です。
(*通常のプロンプトで、計算問題を解くことは困難ですが、CoTという手法で指示することで計算問題を解く能力が向上します)プロンプトの最適化:AIモデルの応答を分析し、プロンプトの効果を評価・改善します。ユーザーからのフィードバックを収集し、プロンプトの表現や構造を調整して、応答を改善します。
新しいプロンプト手法の研究:最新の研究成果や技術を取り入れ、新たなプロンプト設計手法を構築・検証します。
2. 具体例:CoTプロンプトの解説
例えば、AIに「5人の友人がそれぞれ3つのリンゴを持っています。合計でいくつのリンゴがありますか?」という質問をする場合、CoTプロンプトを用いると、AIは以下のように段階的に推論します。
つまり、『ステップ1から3までのプロンプトの内容』ではなく、『3つのステップに分けてAIに指示すると、AIの出力が改善される』という枠組みの構築と検証がプロンプトエンジニアリングであるといえます。
繰り返しになりますが、「最強のプロンプト集100❗️」などの提供はプロンプトエンジニアリングではないので、プロンプトエンジニアを自称する個人や団体がその点を区別せずに情報発信をしている際は、注意が必要です。
3. プロンプト集が効果的に機能する場面
プロンプト集も一定の場面で効果的に機能します。特に、初心者や一般ユーザーがAIを手軽に活用する際に、プロンプト集は便利な出発点となります。
簡単な質問応答や定型的なタスク(例:情報検索や要約生成)においては、あらかじめ用意されたプロンプトを使うことで、誰でも素早く目的を達成できます。たとえば、企業がAI活用を推進する最初のステップとして「社内用プロンプト集」を用意することで、一定の効果が期待できます。
とはいえ、プロンプト集が役に立つのは、本当に最初の最初だけです。
■良いプロンプトを書くコツ
先ほど引用した「Prompt Engineering Guide」でも、様々なテクニックが紹介されています。
この内容をすべて理解して実行するのは、なかなか大変なので、2パターンに分けてシンプルに考えるとわかりやすいです。
・単純で短い指示のとき
たとえば、「今日のAIニュースが知りたい」「旅行先の天気を教えて欲しい」「議事録を代わりにまとめて欲しい」など、入力内容と出力結果が1対1で、複雑でない場合です。
この場合、「プロンプトエンジニアリング」のような難しいテクニックを用いなくても十分な結果を得ることができます。
・複雑で長い指示のとき
たとえば、『投資ポートフォリオを見直したい。現在の資産と投資状況は⚪︎⚪︎で、目標は⚪︎⚪︎、3年以内にFIREしたい』|『来期の予算編成を考えたい。今期の状況は⚪︎⚪︎、人員とリソースは⚪︎⚪︎、目標は⚪︎⚪︎、会社全体で削減する方針なのでムダをカットしたい』など、入力内容に多数の要素があり、出力結果を導き出すために考えるプロセスが複雑な場合です。
この場合、「プロンプトエンジニアリング」について一定の知識をベースにして、一度のプロンプトだけで完結するのではなく、複数のプロンプト・複数のスレッドを使って結論を導き出すための、プロセス設計が必要です。
⭐️M2AIが公開している『FOCUSプロンプト』
私たちは企業向けにAIリテラシーの基礎から、具体的な業務をAIで効率化するための業務設計・プロンプトの考え方を研修で提供しています。
最も重要なのは2点です。
・ゴールを明確にすること
・誰のために、何のためにやるのか伝えること
その上で、FOCUSプロンプトのようなテクニック用いることで高い成果を引き出すことができます。
FOCUSプロンプトの詳細については、引用記事をご覧ください。
参考として、一番最初に使うプロンプト(Frame)をご紹介します。
このプロンプトにより、ChatGPT、Feloなどの生成AIが目的を正しく理解することができます。ユーザーとAIの間で認識のズレを防ぎ、的確な問題定義を行うことが、Frameの目的です。
FOCUSプロンプトを使いこなせば、「中期経営計画の策定」や、「新規事業アイディア」など通常のプロンプトでは作成することができない複雑な制作物も、人間と遜色ないクオリティで作成することができます。
実際に複数のケースで、FOCUSプロンプトを使った制作物を企業様に提供していますが、その品質にもご満足いただけています。
まとめ
プロンプトエンジニアリングは、ただ「良いプロンプトを書く」だけではなく、AIと人がしっかり意思疎通できるように対話の仕組みをデザインする技術ともいえます。
今回のNoteでは、「プロンプトエンジニア」を題材に、AI情報について正しく有用な情報を収集して欲しい、という気持ちを込めました。
残念ながら日本の現状として、フォロワーの多い(声の大きい)発信者は『わかりやすさ(宣伝性)』に傾倒してしまっています。
そのため、プロンプトエンジニアのように何となく意味がわかるような言葉ひとつとっても、正しい情報を発信しているかどうかが重要なポイントになります。
M2AIは今後も非エンジニアの立場から、日常でAIサービスを使いこなす方法について紹介していきます。リクエストがあれば「FOCUSプロンプト」の実践例や、Feloでの活用方法も紹介していきますので、お気軽にご意見いただけると嬉しいです。
ご覧いただきありがとうございました。😎
M2AI|生成AI活用支援
https://x.com/M2AI_jp