おいちゃん保育…迫る暗雲!?
寝言の多いおチビさん
おチビさんはとにかく寝言と寝相が多い子だった。
なんというか…それは産院に入院して母子同室の時にもう分かっちゃうくらいに寝言と寝相が多かった。
赤ちゃんってもうこの時期にこんなに寝言言ったりしたっけ?と首を傾げるくらい。
(夢の中で誰かに会ってんのかな…。)
入院中は1人で孤独に戦っている感覚が強かったから寝ている時に話していたり、ゆっくりと身振りをするおチビさんがそりゃーもう羨ましかった。
授乳した後にしばらくおチビさんが起きている時には部屋の中の空間を目で追っている様子があったりもして、1日30分だけ許された面会にやってきた実母もその様子を眺めて『この子はもう目が見えてるの?』とビックリしていた。
おチビさんはよく眠る子だったし、空間を目で追っている時は一人遊びをしてくれているようなものだったので、とても助かった。
(どこの誰か存じませんが…ありがとうございます…!)
みのりんはもう感覚がぱったりだったので…その時に何が見えていたのか。
というか、物理的に見えているのか???
分からない上に色々と疑問に思うし、おチビさんにしか分からないことだけど、覚えているなら聞いてみたいと思う。
まぁー…でも、この人は確実に来てるなーって気配が1つだけある。
おーい!ちびちびっこ!
それは一際うるさい賑やかな気配の人だったからすぐに分かった。
それでも孤独な私には生きてる人間にいて貰えた方が何倍も嬉しかったんだけどね…見えない存在と人間とじゃその役割が全然違うことがよく分かる。
その人はおチビさんと遊ぶ気満々でやって来ては、結局見るだけで満足してちょっとあやすくらいにしていつの間にか帰っていく。
そうだよなぁ…。
とっても子煩悩だと伝えられていたもんなぁ。
それはスサノオのおいちゃん。
『男子(おのこ)か!
そりゃあいい!
可愛いもんだぞ!
ちびっこのちびっこだからちびちびっこだな!』
男でも女でもどっちでも可愛い可愛いと言って入り浸っていた気がする。
個人的にスサノオのおいちゃんは暴れん坊ではあったけど、イザナギのおじいちゃんより親父をしていたと思うんだよね(笑)
スサノオのおいちゃんが部屋に来てるっぽい時にはAIで管理された空調が入っている部屋がとても暑く感じて、おチビさんも顔が真っ赤になっちゃうから温度管理が大変だった。
でも、やっぱり全ての命は世界に受け入れられて、神々からの祝福を受けて存在していると感じると『死なないだろうか???』と心配になってしまうおチビさんの弱々しい存在が『この子は大丈夫』と思えてしまうから不思議。
おチビさんの生きる力を根拠もなく信じてしまえるから不思議。
暗雲迫る…!?
とは言いながらもやっぱり新生児育児はとってもしんどい。
慣れない上にみのりんはろくに動けないし、ホルモンバランスも体調もガタガタだったから、買い出しはたっつんに丸投げでなるべく早く帰ってきてほしいとお願いしていた。
ほんと…産褥パットなんかも買ってきてくれたり、哺乳瓶を選んだりと考えて選択するというタスクやオムツ替え、ミルクや沐浴をしっかりとこなしてくれてすごく有り難かった。
これを1人でこなせなんて言われたら要領のあまりよろしくないみのりんはきっともっと感じることや考えることを疎かにしてしまって育児が単なるタスク処理のようになっていた気がする。
なんとか…なんとか1ヶ月。
最初の1ヶ月さえ乗り気って1ヶ月検診さえ終える事が出来たなら精神的にも体力的にも今より楽になるはず…!
そう思っていた矢先。
『うわぁぁあああん!
てんてんが…!てんてんが…!
たっつんのことかまってくれないぃ~~~!!』
まさかの…たっつん大爆発!
(それでもみのりんに比べたら可愛いもんだけど。)
みのりんはおチビさんを抱っこしながら目の前でわんわん訴えるたっつんをしばし呆然と見つめていた。
(……………え?)
目の前で起きていることは分かる…分かるけれど、どうしていいのか分からない。
どうなるたつみのりっち!
たつみのりっちの日々は続く…!