感情の記録5 : 2/14 「流浪の月」凪良ゆう
今年読んだ5冊の中で一番面白かった。大体2日で一気に読んでしまった。
高校同期T君の2022年ベスト本2冊目。
正欲を先に読んでしまったために、世界から理解されない立場の人間の主張がうるさいと錯覚してしまったことは少し残念だった。
その他、T君の好みに対する思考が止まらなかったり、彼氏と1ヶ月会えない時期の1,2日目で放心状態だったりなど、雑念が多く含まれてしまったことが少し残念。
そう思うくらい、純粋に楽しみたい、とても良い小説だった。
更紗の両親の描写が良い。あの短い描写で、更紗の感覚通りに本当にキラキラした子供時代であったことを当たり前のように認識できた。
シーンシーンで、自身が更紗と同じ感情を覚えられることで、作品への没入感が高かった。(それで、2日で読みほしてしまった)。
読み終わった時に涙を流していた。これは、自身を正しく見ようと努める人と生涯を共に出来るという幸福にあてられたことが理由。
一番好きなシーンは幾つかあるが、父母と過ごしたキラキラとした幼少期と、文との2ヶ月間と、警察官に真実を告げることが出来たシーン。
正直大人になってからの他者との溝は、伝える順番が悪く最後まで言葉を紡がず飲み込んでしまうことをやめれば解決するだろうになあ、その名前を口に出せないほど弱いまま大人になった描写はそんなにないのになあ、と常に違和感を覚えていたので、はっきりと言えたことで本当にスッキリした。
文と過ごす日常について何故あんなにサラッと幸福感を演出・滲ませることが出来るのか、著者の能力の凄さを感じていた。
おしまい