![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/133462894/rectangle_large_type_2_1cdfe5a3d79462cf24f9974d6ead15f4.png?width=1200)
PLOブロッカーを使いこなす!!!
ブロッカーがあるからベット!ブロッカーがあるからコール!という言い訳でプレーを決めている人が大勢いる。「ブロッカー」という魔法の言葉にすべての責任を押し付けて思考の放棄をしているようにしか見えない。ブロッカーは本当に魔法の言葉なのか、本当に信用していいのかと筆者は非常に懐疑的であった。
ベットレンジがめちゃくちゃポラライズしている時(主にリバー)のブロッカーの効用については、木原さんnoteで詳しく説明がある。
しかしながら、ベットレンジがそれほどポラライズしていない時(主にフロップ)のブロッカーの効用について考察した記事は見かけない。フロップのプレーを間違えると、ターンやリバーのプレーが苦しくなり期待値の大きなマイナスに繋がることが良くある。それなのに軽々しくフロップで「ブロッカー」プレーをしていいのだろうか。
以上の動機より、本noteではフロップでのブロッカーの効用について考察した。
目的
blocker/unblockerという概念を用いて、ベットを検討するハンドとベットに対する相手のフォールド頻度の関係を調べ、フロップでのブロッカーの効用とその応用に関する知見を得る。
用語説明
・blocker
相手の継続レンジ(コール、レイズが可能なハンド)を抑えるカード。
例えば、943hdhというボードを考えると、Ahを持つことで相手が持ちうるナッツフラッシュドローが無くなり、9cを持つことで相手が持ちうるトップセットと2Pのコンボが減る。そのため、Ah,9cはblockerである。
・unbloker
相手の継続レンジを抑えないカード。
例えば、KQJdscというボードを考えると、4467や8932等のハンドはベットに対してフォールドをする。そのため、2-9のカードはunblockerである。
条件
・BTNvsBB, SRP, eff100bb
・BTNに50%CBを打たれたときのBBのフォールド頻度とblocker/unblockerとの関係を調べる。
・各種ボードにおけるフォールド頻度はmonker solverの計算結果を用いた。
monker solver設定
・preflop:PLOmastermindレンジ
・rake/cap:5%/2bb
・bet size:50%(flop), 100%(turn, river)
・donk size:33, 75%
・raise size:75%
・iterations/nodes:25
フラドロボード:943tt
一般にフラドロボードにおいて、色を抑えたハンド(ここではハート持ち)でブラフすることが良いと言われている。そうした感覚を数値化していく。
![](https://assets.st-note.com/img/1708714704690-Zsavy96XMd.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1720719602053-wHWHTpNPx7.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1720719530996-RHtaGpVhOy.png)
「表の説明」
FD blockerとはフラッシュドローブロッカーのことである。
・ave. : ブロッカーを考慮しない場合のフォールド頻度
・1 blocker :自分の4枚のハンドのうち1枚がフラドロを抑える場合の、相手のフォールド頻度
・2 blockers :自分の4枚のハンドのうち2枚がフラドロを抑える場合の、相手のフォールド頻度
・3 blockers :自分の4枚のハンドのうち3枚がフラドロを抑える場合の、相手のフォールド頻度
・pair blockers :自分の4枚のハンドのうち1枚がヒットを抑える場合の、相手のフォールド頻度
「表から読めること」
ナッツとセカンドナッツフラドロブロッカー(Ah, Kh)は1枚抑えるだけで相手のフォールド頻度は2%以上高く、2枚3枚と抑える枚数が増えるほど相手のフォールド頻度はより高くなる。例えばAhを見ると、41.2%(1枚)<44.1%(2枚)<46.3%(3枚)と抑える枚数が増えるほど2%以上ずつ相手のフォールド頻度が高くなることが分かる。
一方でAh, Kh以外のブロッカーについて、例えばJhを見ると、38.4%(1枚)<39.1%(2枚)≒39.3%(3枚)、8hを見ると、37.8%(1枚)<40.2%(2枚)>38.2%(3枚)である。2枚や3枚抑えていてもAhやKhを1枚抑えている場合に及ばないことが定量的に分かる。
またペアブロッカーについて、トップヒットブロッカー「9」はセカンドナッツフラドロブロッカー(Kh)に近いフォールド頻度を示している。これは相手のセットや強い2Pを強烈にブロックしていることが要因として考えられる。同様にミドル、ボトムヒットのブロッカーはそれぞれ0.5%程度相手のフォールド頻度を増やす。
続いてunblockerについて考察する。一般的にunblockerがあるとbluffのモチベーションが下がると言われている。
![](https://assets.st-note.com/img/1720669526567-ZHw5dfIAvy.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1710047634303-HGfsQOG8P3.png)
「表の説明」
バックドアフラドロの色ではない、かつペアブロッカーではないカードを抽出し、そのカードを自分が抑えている場合の相手のフォールド頻度を示した。
「表から読めること」
Tc, Jcは2%以上相手のフォールド頻度を下げる。またRFIレンジに多いAやKも2%近く相手のフォールド頻度を下げる。2枚以上のunblockerを見ると、枚数に応じて相手のフォールド頻度が大きく下がることが分かった。 2枚blockerについてBTN RFIレンジに多いAKや87を持つことは相手のフォールド頻度を約3%下げ、3枚blockerについてAJTやAKQは5-6%もフォールド頻度が下がる。
「blocker/unblockerが実際のベット頻度に及ぼす影響」
これまでblocker/unblockerとfold to CB頻度の関係を調べてきた。本項では座学と実践を繋げるため、blocker/unblockerとCB頻度の関係を見ていく。
![](https://assets.st-note.com/img/1720669622978-dei8CX8stI.png)
条件:2ペア未満、FD無し
・FD blocker
![](https://assets.st-note.com/img/1714610115404-aWmCGKC6Fy.png)
FDブロッカーが無いハンド(w/o h)のCB頻度は11.7%と著しく低いのに対して、FDブロッカーを持つハンドのCB頻度は50%を超えた。特にAhはCB頻度が85%を超えており、非常に優秀なブロッカーとして働いていることが分かる。
・unblocker
![](https://assets.st-note.com/img/1714610146356-suYCSF4d8L.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1714610592726-igcYfOFJu4.png)
unblockerの検証より、FD blockerでないハイランクカードはunblockerとして働くことが分かっている。実際のCB頻度にも反映されており、Ac-Tcが無いハンド群のCB頻度は45.8%であるのに対し、Ac-Tcいずれかを持つハンド群のCB頻度は30%未満であった。またunblockerは複合し、AcKcやAcQcを含むハンドに至っては10%未満しかベット頻度が無い。
「具体的なハンド」
![](https://assets.st-note.com/img/1720669650395-tan9JrR7Fp.png)
例えば、AcKcQsJhというハンドを考える。ブロッカーで考えるとblockerはJh、unblockerはAcKcQsであり、チェックしそうなハンドであることが分かる。ソルバーで見てもピュアチェックということが分かる(下図)。これまでpureにベットしていた人も多いと思う(自分もベットしていた)。
![](https://assets.st-note.com/img/1710046564163-jHRAU3e6LR.png?width=1200)
ここから先は
¥ 450
Amazonギフトカード5,000円分が当たる
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?