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[第十話]自分のチームメイト

こうやって、書き出してみると、当時は不器用なりに。下手くそなりに、人数が揃った段階から”早いうちにチームを作ろう”としていたんだなぁ、と言う事が解る。

チームを引っ張るとか、まとめるとか。凄く苦手だからそう言うのは放棄していたけれど。

春になると、後輩が入ってきました。

私の同期。
実は1年の3月の段階で、私以外全員男子でした。
1年の春に、私含め4人入っていた女子部員も、部活開始4日で2人辞め、6月の上旬には残ったもう1人も辞め。

0w0(仮)「私は、よっぽど嫌われてるようだ!!」

と、思いつつ、このままでは、団体戦に出られない事を頭の片隅には置きつつ……
だけど、やる気なさそうにしている人もいたりして、そんな人と弓道をやりたいとも、到底思えなくて。

先輩や先生には本当に申し訳ないのですが…
1年生の時の私は、辞めていく人達を引き止める気には全くなりませんでした。

普通なら「一緒にやろうよ!!」と、言うところなのでしょうが…残念ながら、私はそこまで暖かい心は持ち合わせていない様子です。


そして、他人を無理に勧誘することが出来ない性格。
なんとなく、クラスメイトを部活に誘ったりはしていましたが、皆、なかなか乗気になってくれないので、こちらも部員募集に対する意欲は低めでした。
(先輩達が一生懸命になってくださっていたので、非常に申し訳なかったけれど。)

それでも、男子連中との人間関係は、まぁまぁ悪くはない。
近年は、みんな転勤や結婚でなかなか会えなくなってしまっていたけれど、私が地元に住んでいた頃や、それからしばらくは、年間最低2回は集まって飲みに行っていました。(たまに先輩や他校の人も誘いながら。)
変わり者ばっかでしたが、みんな性根は、いい人達。
今でもたまに連絡を取り合う程度には、人間関係は良好な環境でした。

1年生の段階では、男女混成可能な大会でしか団体戦に出場する事もなかったので(公式戦は3人立なので、先輩で2チーム。後は補欠&個人戦枠でした)。
先輩差し置いて、団体戦のメンバーに入ろうと思えるほど、的中や結果も出していなかったですし。
悔しい思いはたくさんしていますが、それまでは女子部員1人でも、全く困る事はありませんでした。

その上、当時は他校の人達とも仲良くさせていただいていたので。
あまり自分が”ひとり”である、という感覚は、なかったです。

そんな感じで丸1年。
4月になれば、後輩入ってきますし、何とかなる、と思っていました。

【後輩】

新1年生。女の子4名入部。

彼女達がいなければ、私は団体戦に出る事はできなかった。
本当に、感謝しかありません!!

……とは言え、4名では、県総体の団体戦は5人立ち。ギリギリ。
1人たりとも辞めてもらっては困る。

そして、インターハイ予選である、県総体を勝つには……
新1年生には、早い段階でインターハイを視野に入れて練習してもらえる様に、チームを作らなければいけない。

…とても悩みました。
未経験者にいきなり、全国大会の話をしても、理解してくれる訳がない。
協力してくれるのか……
どう伝えれば良いのか……
いきなり全国大会の話して、辞めないか……

こう見えて、ひとりで夜の数だけ悩んでいました。

•なるべく、新チームの事を考えたい。
•とにかく、入部してくれた後輩達とたくさんコミュニケーションを取りたい。
•みんなのことを知りたい。自分の事を知ってもらいたい。
•導入期の後輩指導もなるべく参加したい。
•可能な限り、後輩達と同じ事をしたい。

後輩入るまでは、考えた事もなかった、チームを作ること。
1年生の時は、先輩の後ろについていくだけで、自分が団体戦で勝負する、と言う事が、想像が出来なかったのです。

最終的には”大阪でたこ焼き(私達の代での開催地は大阪でした。)食いたいから、一緒にインターハイ行こうぜ!!”みたいに、アホっぽく言い続けていたら、みんな真剣になってくれましたが。
(基本的には、私は結構アホなのでアホな先輩を通す事にしました。)

後の大前「0w0(仮)先輩のモチベーションはたこ焼きなんですかっ!?」

0w0(仮)「そう(`・ω・´)美味しいよ。大阪のたこ焼き。」

後輩(以降”ちーちゃん”と書きます)「たこ焼きいいですね!!でも、私もんじゃ派です。」

0w0(仮)「じゃあ、もんじゃも食べよう!!」

※もちろん、たこ焼きやもんじゃ焼きはどうでも良かったのですが”食べ物目的”という設定が、1番説明つきやすかった。

それと時同じくして。
県総体前に地区大会がありました。
自分も先輩達と大会には出る事になっていたので、新チームに付きっきりになることは出来ませんでした。
なので、可能な限り、時間の許す限り。
後輩達に声をかけ、後輩指導は入れる時は全部入って……

先輩達と弓道をやる顔と、後輩達に見せる顔。
使い分けを凄く意識していました。

そして、この時期になると、壮行会があり、朝礼で各部、ユニフォームを着て、全校生徒の前を練り歩かされます。

当然、私も袴とゼッケンをつけて、朝っぱらから全校生徒の前を先輩達の後にくっついて歩く訳ですが……

これが、思わぬ結果を招くことになるのです。

【同期女子部員の復活】

私が袴を着て、大層立派そうに先輩達に混じって、全校生徒の前に出たのを見て、覚醒した同学年(女子)がいました。

後に、副部長となる人です。

彼女は、1年の6月に弓道部を辞めています。
前にも後にも。理由や事情など知ったこっちゃなかったが、辞めてる人を追っかける程、当時の私は他人には興味はなかった。
この人の事も例外はなくて。

0w0(仮)「また人が辞めた……。辞めすぎじゃない?やっぱ、私、嫌われてるらしい。」

と、思いながらも、自分には関係ない事だと、見ないことにしていました。

彼女は彼女で、いろいろ思う事はあったんだと思う。
辞めたキッカケを聞いて、気持ちは分からんでもなかった。
私が逆の立場だったら、やっぱり、同じ様に凹んだと思う。
当時、彼女が苦しんだ”それ”は、努力や気合でどうにかなるものでもなかった。
しかし、弓道をやる上で、そんなに重要ではない。

私がもっと人に合わせる事ができる性格なら、結果は変わっていたのかもしれないけれど。

後の副部長は、普段はほとんど交流のない”普通科”の人でした。
壮行会の後、いつ、どこでかは忘れたけれど、声をかけられて、ただ、ひたすら袴姿を羨ましがられました。

永遠と「袴いいなー」と言うものだから、

0w0(仮)「戻ればいいじゃん。(テキトー)」

と、一言だけ言ってみた。

初めは戻る訳がないと思っていましたが、意外に食いついてきました。
それで、よくよく話を聞くと、袴が羨ましいがエスカレートして…

後の副部長「なんで、あそこ(壮行会)に、袴姿で歩いてるのが、0w0(仮)なの!?おかしくない!?マジムカつくんだけど!!」

と言い始めました。

0w0(仮)「(ヒドイ言われ様だな…。)そりゃ、大会に出るからねぇ。壮行会位出るし、袴くらい着るさ。悔しかったら部活戻れば?同期一同は大歓迎だよ?」

よくわからない、後の副部長のフラストレーションを散々聴いた後。
彼女は彼女で、部活に戻ることの不安要素を話し始めました。

0w0(仮)「その心配は、全部意味はないかな。少なくとも、私は気にしない。」

1年生の時と違って、後の副部長が弓道を再開できる環境は揃っている。
私は、それを確信していました。

去るものは追う気にはならないけれど、やはり一度は弓道を辞めた人が、どんな理由があれ、戻りたがっているのは嬉しかったです。

だけど、折角入部してもらっても、彼女が”気まずい”と、思ってしまう可能性は、可能な限り排除したかった。
なので、まずはT監督の元へ行きました。

そして、先輩達にも後の副部長を復部させようとしている事を話しました。

T監督も先輩達も、私が話を出した時、すごく驚いていました。
だけど、誰一人として”今更?”と言う人はいなくて、思った通り、ウェルカムモード。

T監督「今、うちは人数が足りない。後の副部長が戻りたがってるなら、大歓迎すべき事じゃないか。みんな待ってるよって、言ってあげな。」

同期男子連中は……相変わらず。言うまでもなく

同期男子連中「あいつ(後の副部長)戻るんでしょ〜(軽率)」

…という事で、先生、先輩、同期の受け入れ態勢。OK。

そして、女子の後輩達にも説明して。

……部員への説明……完了。


ここからは本人にガツガツ”みんな待ってるよ”アピールの応酬をしました。

程なく、同期女子部員、1人復活。

チームメイト、私含め6人!!

0w0(仮)「おぉ!!5人立できる!!やった!!来年、インターハイ出て、たこ焼き食べよう!!(2回目)」
※後の副部長は、私を見て”こいつ、馬鹿だ”と、思っていた事だろう。

※しかし、その後1人辞め、ちょうど5人……
1人も辞めさせられない。

副顧問の先生「辞めたら困るもんね〜。真綿で首を絞めるんだよ〜。優しくして、少しずつ絞めていく……いきなり厳しくしたら辞めちゃうから……キューってやるんだよぉ〜。」

0w0(仮)「先生…怖いです……。それに、そういうの、苦手です。」

副顧問の先生「(真綿で首を絞めるの)当たり前の事なんだけど!!」


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