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【よもやま話】22歳で11年ぶりにクラシックピアノを再開して28歳で初めてコンペに出た話④
ピアノは、小さい頃から真剣にやらないと、難しい曲は弾けない、上手くならない。
そう言われていますが、再開した当時も今も、それを否定しながら修行中です。
確かに、指の速さや上達スピード、努力ではどうにもならない事もありますが、補える事もたくさんあります。
また、世の中には、勉強になる書籍や、現在はYouTubeで活動されているピアニストもすごく為になることを言っていますが、
この記事では、自身の記録も兼ねて体験したことを書いていきます。
まだ何者ない奴の雑記ですが、「こんな人もいるんだなぁ」と思って読んでいただければ幸いです。
2016年2月のピティナステップが終わったタイミングで、T先生に
「今年のピティナコンペティションのグランミューズB1カテゴリー参加します。」
と、意思表示をしました。
T先生「いいです。リストの曲がつかえます。」
まだ早いとか、やめなさいとか、言われるかと思いきや、この一言。かなりあっさりした返答が帰ってきました。
私も特に気合を入れるでもなく。しかし、凄く楽しみではありました。
コンペに参加すると決めてからは、リストの曲のみに集中しました。
これまで、ただひたすら手のフォームとか、身体の使い方をだけを意識していた練習から、音のバランスや立体感を少しずつ意識していました。
2016年4月、5月、6月 ピティナピアノステップ
•Liszt:Légendes St.François de Paule marchant sur les flots
“音楽的に”を意識しても、中学の時の合唱曲のように、ノリやテンションで形になるものではないという事を痛感しました。
コンクールなので、まず弾けないところを少しでも”マシ”な状態にしたいと思いました。
•出だしの左手のトレモロと、右手の音量バランス
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•左手のpassage
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•速く細かく粒を揃えたスケール
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•跳躍からの3度の重音スケール
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•Allegro maestosoの音量バランスと華やかさ
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圧倒的にテクニックが足りない。やりたい事がやれない。出したい音が見つからない。
やれないと言っても、本番は来るので、メカニカルな練習と、自分の中の魂に音が憑依するまで何時間も休まずに弾き続けることをしました。
とにかく”それっぽく”でもいいから他の参加者と対等な演奏がしたいと、この頃は思っていました。
また、この頃から、同門さんで同じ部門に出る方と比較をよくされるようになりました。
しかし、その方はそんじょそこらの大曲程度なら、初見でスラスラ弾いてしまう様な猛者なので、同じフィールドにいるとは到底思えませんでした。
同門さん「リゴレットパラフレーズ(同門さんのコンペ曲)、超簡単だよ〜!!すぐ弾けちゃうから弾いてみればいいじゃん!!」
私「そうなの?譜読みしてみようかなぁ……」
〜譜読み後〜
私「(誰だ!?簡単なんて言ったのは(笑))」
ピアノの先生の中には、B1は所詮アマチュアと仰る先生もいらっしゃいますが、決してレベルの低いものではないと、私は思っています。
同門さんもソロでも二台ピアノでも、初見で涼し〜い顔で素晴らしい演奏をしてしまうような、T先生も「優秀だ」と評しているほどの凄い人です。
しかし、現実問題、例えアマチュアの世界でも子供の頃からきちんと教育を受けてきたが、”音楽の道に進まない事を自分で選んで”趣味として舞台に立っている人が大勢います。
ピティナのグランミューズ部門B1カテゴリーは、自由曲で参加出来、プロや音楽学校でピアノを専攻していなければ、極端な話、ピアノを始めて間もない初心者でも参加はできます。
しかし、少なからず、初心者でも、この数年で、漸くクラシックと向き合い始めた程度の人間でも、同門さんのようにめちゃくちゃ弾ける人でも、決めてしまえば、同じ天秤にかけられる。
競技人口が多い上に、私はみんなが真剣にピアノをやっている頃に別の事をしていた人種なので、長くピアノをやっている人にすぐに勝てないのは理解していました。
もちろん残るつもりで弾いていましたが、それ以上に、コンクールに出ても何も変化がない、上達しない、舞台上で自分のやってきたことを出せないと言う事になるのが、凄く嫌でした。
私「自分がやる事は変わらないので、ミジンコですが、精々頑張りまぁーす!!!うふふ…」
なんて、ニヤニヤしていましたが。
コンクール直前は、やはり周りも少し意識してしまい。実際の心情としては、巨大なサーベルタイガーを前に、丸腰で喧嘩を吹っかけるチワワみたいに、震えながらキャンキャン吠えている小型犬の気分でした。
2016年 ピティナコンペティション グランミューズ部門B1カテゴリー 予選1回目
•Liszt:Légendes St.François de Paule marchant sur les flots
※動画は2016年3月頃撮影。所々、譜読みミスがありますが、コンペの時には修正しています。
それにしてもforteばっか(苦笑)
結果は、予選で見事に落ちました。
点数の低さに結構絶望しました。
T先生「7.8なんて、どうやったらでるのよ(笑)」
私「全くです。」
T先生「よっぽどドレスコードが変な格好したとか?」
私「やっぱりステージドレスでないとダメでしょうか?いつものパンツスーツだったのですが…」
T先生「貴方はそれでいいわよ。」
気を取り直して、2回目へ。
2016年 ピティナコンペティション グランミューズ部門B1カテゴリー 予選2回目
•Liszt:Légendes St.François de Paule marchant sur les flots
私「ダメでした。」
先生「来年は?」
私「出ます。」
先生「曲は?」
私「検討していいですか?近現代弾いてみたいです。プロコフィエフとか。」
ちなみに、同門さんは、予選2回とも通過。
しかし地区本選の1週間くらい前に緊急入院してしまい、本選参加が危ぶまれたそうですが、何とか弾いてきたそうです。
同門さんからのLINE
同門さん「(コンペで)弾いてきたよ!!」
私「本当ですか!?お身体大丈夫なのですか!?」
同門さん「なんか、本選○位だって。全国にはいけないみたい」
私「(おめでとうございます?お疲れ様です?残念でした???)○位凄いですね。お疲れ様でした。でも、無事に弾けたようで何よりでした。」
同門さん「うん。ありがとう。」
その1週間後に、「息子に先を越されました」と、超いい笑顔で、自分の身体より大きなトロフィーを抱えた、同門さんのお子様の画像が送られてきたのであった。
私の方はというと、コンペ予選通過は目標でしたが、発展途上は解りきっていた為、落ちた事自体には、そこまで落ち込んでおらず。気持ちは早くも翌年に向いていました。
だけど、2回目の予選の点数の平均が8.0。
予選通過ラインのポイントまで0.2点だった為、1年で、どう差を少しでも埋めるのか。
たったの0.2ポイントが大きいか小さいかは解りませんが、予選で聴いた他の人達の演奏レベルを思い出していました。
直ちにどうにもならない経験値や、現状自分の力が及ばない部分は一旦抜きに、一瞬考えを巡らせましたが、考えたところで時間の無駄です。
結局は、変わらずやるしかない、それしか解らない、と思い、いつも通り、日常の音楽をやることにしました。
なんだかんだ言っても、マイナススタートから、大曲弾いて、コンクールに出れたんだから、よくやったよね。
そんな感じで、楽譜もロクに読めない20代前半〜ピアノのコンクールに出てみるまでの経緯をダラダラ書いてみました。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
今後も頑張ります!!
2016年12月、2017年1月 発表会
•Prokof'ev:Sonata for piano Op.1
※動画は2016年12月に撮影。
【よもやま話】22歳で11年ぶりにクラシックピアノを再開して28歳で初めてコンペに出た話(完)