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論文、どうやって読んでますか?

論文の読み方。
若手研究者、特に修士課程や博士課程の学生にとっては結構深刻な問題だと思います。あと研究を始めたばかりの学生さんにも。

私自身も

・まず何を読んだらいいのかわからない...
・読むべきものがわかってきたけど、1本読むのにかなり時間がかかる...
・読んだはいいものの膨大な数の論文の内容を覚えてられへん...
・紙で読んでたけどかさばって仕方がない...

と論文の読み方にはかなり悩んだ一人です。今でも絶賛試行錯誤中。
と言うことで、現状の論文の読み方をご紹介したいと思います。

みなさんがどうやって論文読んでるのか気になりますので、ゆるっと募集してみます。もしよければ #論文どう読んでますか とでもして投稿していただけたら幸いです。

1. デジタル派か紙派か

かなり大きな論争が巻き起こるこの問題。
本音を言うと私は紙媒体で読むのが好きです。読書好きなのもあって、紙の上の文字を読みたい。

ただ、論文に関しては、今はiPadで読んでいます

それというのも、博士課程ともなると読んだ論文数がかなりの数になり、整理も大変だから。

特に、幅広い観点から研究を進めている私の場合、
・病害抵抗性について ・植物ホルモンについて・植物ホルモンについて 
・雑種成立について ・雑種の表現型 ・開花 ・低温応答性
・コムギ種子の品質 ・RNA-seq解析 ・ゲノムデータの取り扱い方
・NGS解析技術 ・気候変動モデリング ・ディープラーニング
・・・・・と最近読んだ、自分の研究に関係あるテーマのものをざっと挙げてもこんな感じ。

さらに自分の研究に直接は関係ないものでも
・ネアンデルタール人の遺伝解析 ・デニソワ人の遺伝解析
・托卵する鳥の適応度について ・気孔のでき方 ・光合成メカニズム
などなどなど...

それぞれ1報ずつなんて生半可な量ではないです。
自分の研究に関係するものだと、それぞれのテーマについてコムギだけでなくシロイヌナズナ(ぺんぺん草の仲間)、イネ(お米)、トウモロコシ、オオムギ、ライムギ、その他イネ科雑草の類...など網羅的に数十報は読みます
自分の研究に関係しないものだと、前提知識がわからなかったりするので、References (参考文献)に挙げられている論文を辿って数報読んだりします。

当初は全部印刷してクリアフォルダーにでも入れて...って管理していましたが、でっかいファイルを持ち歩くわけにもいかないし、スイスにまでは持ってこれない。読みたい時にパッと出てこないのがとてつもなくストレスフル。。。と言う状況に陥ったので、紙で読むのを諦めました。

2. 使っているツール

ReadCube Papersと言うアプリを使っています。
Desktop版(Windows/Mac)アプリ、iOSアプリ、Androidアプリ、web版を提供してくれています。基本的な機能は無料で使えます。

メインで使ってるのはiPadですので、iPadのiOSアプリでご紹介します。見た目はこんな感じ。

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ダークモード好きです。注釈を入れた論文に丸ポチがつきます。
ちょっとこれからReadCube Papersさんの回し者と化します笑

2-1. いいとこ1: アプリ内で論文検索ができる!!!!

アプリに入れている論文の検索機能があるのはもちろんですが、アプリ内でGoogle scholarやPubMedを使った論文検索ができるのです!

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つまり従来は

論文読んでる → 読みたい別の論文が出てきた → ブラウザを立ち上げ → PubMedを開いて検索 → ダウンロード or 論文管理アプリにアップロード →読む

だったのが

論文読んでる → 読みたい別の論文が出てきた → 検索窓からサクッと検索 → Libraryにダウンロード → 読む

と3ステップくらい省略できるわけです!これは楽ですよ〜

2-2. いいとこ2: Referenceがすぐ読める!!!!

論文読んでて大事なのが参考文献。
この手法わかんないな、とか、前提として語られてるけどこの分野のを読むのは初めてなんだよな、といった場合に絶対読むもの、それが参考文献。

ReadCube Papersの場合、論文中の引用文献番号をタップ(クリック)するとその論文が検索、表示されてすぐに読めます。

ブラウザ開いて → PubMed開いて引用文献検索して → 見つけてダウンロード → 読む

ワンクリックです。楽。すっごい楽。

2-3. いいとこ3: 手書きで注釈がつけられる!!!!

iPad pencilさえあれば結構快適に注釈がつけられます。最近読んだのだとこんな感じ。

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紙媒体に手書きと遜色ないし、マーカー、アンダーライン、訂正線、コメントも入れられます (コメントは読むまでに「開く」って言う動作が必要なのであんまり使ってません)。

ちなみに、学生料金で月額3ドル、一般料金で月額5ドルを支払うと全てのデバイスで同期でき、タグ付け管理なども可能、クラウドの容量を無制限で使えます。Reference用にまとめた論文データをwordで出力してくれる機能も使えます。

iPadで書いた注釈はデスクトップ版アプリでもきっちり同期されてます!

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年間契約なので、学生だと36ドル、一般だと60ドルの一括払いです。
1ヶ月の無料お試し期間があります。

私個人的には、
論文執筆中はPCで、自分で入れた注釈つきで読みたい。
でも普段読むときはiPadがいい。
セミナー中の論文検索はiPhoneでして同期させたい

というわがままを可能にしてくれるので、1ヶ月の無料期間が過ぎてからすぐに購入しました。月400円弱なら安い。

3. 普段の読み方

ツールの話はこれくらいにして、普段の読み方をご紹介します。
(あれ、もう2300字も書いてる。長いな、ごめんなさい。でも続けます。)

修士の頃から「1日最低1報読む」をノルマにしています。
検索するときはPubMedがメイン。たまにGoogle scholar。
論文は、精読する必要のあるものとざっと読んで終わるものに分られます。
ざっと読むものは、知識として知っておく必要はあるけど、自分の研究に直接関係するわけではないので、大筋がわかればいいやつ。あと単純に自分が興味あるだけのやつ。
精読する必要のあるものは、自分の研究と密接に関わるやつ、引用しようとしている文献、など。

では、それぞれの読み方です。
初めて論文を読む人は真似しないでください。ある程度読んできて、論文というものになれた人向けです。
それから理系、生物系の論文に特化していますので、他の分野の方からすると違うかもしれない。。。

3-1. ざっと読むもの

基本的に朝の通学時間が論文読む時間。最近はチャリ通なので、寝る前の30分です。

帰宅前に論文をアプリに(学内はダウンロード可能な雑誌の数が多い)
朝、電車の中で (もしくは寝る前に)、iPad pencil片手に読む。

読む順番は
1. Abstract (要約)
2. Conclusion (結論)
3. Results (結果)
3'. Materials and Methods(M&M, 材料と方法)
4. Discussion (考察)

まず、Abstractで大体の論文の言いたいことを把握します。で、一番最後に飛びます。AbstractとConclusionを把握しておくことで、「この著者は何を目的にこの研究をしていて、結論として何を言いたいのか」がわかった上で論文を読むことができる

次にResults。ここは読むといってもFigure (図)を追いかけるだけです。
博士課程ともなると、Figureを見ればどんな実験、解析をしたのかがわかるようになってきます。初めて出会った手法はこのときに確認する。
図から読み取れるものもわかってきます。ここで、最初にConclusionを読んで置いたことが効いてくる。筆者が言いたい方向性とFigureがあっているかを確認できます。

で、Discussionはさらっと読む。斜め読みでもいいです。
Resultsを読んでいて引っかかった部分、例えば「筆者はAの仮説を主張していたけど、この解析結果からはBの仮説の方があっているのではないか」とかがあれば、その点についての考察をちょっとだけ詳細に確認します。

自分の分野の論文ではIntroductionは大体知ってるから時間をかけては読まない。初めての分野、読み始めてまだ浅いテーマだとちょっとだけちゃんと読みます。

こんな感じで読んでると、慣れれば30分もあれば1報読めます。
とにかく、
・何を調べたいのか
・何がわかったのか
・先行研究と比べてどこがすごいのか
・どうやって調べたのか
・なぜこの手法を採用したのか
・考察の方法

はしっかり把握するように読みます。

3-2. 精読するもの

精読するものは流石に電車内だけでは無理。もちろん電車内でも読みますが、ラボについてから、家で...等、しっかり読み込みます。

順番は
1. Abstract
2. Conclusion
3. Introduction
4. Results
5. Discussion
6. Materials and methods

今回はイントロもしっかり読みます。
前提条件が思っていたのと違う場合もありますし、自分が研究を進める上で、論文を書く上で、これまでにわかっていることは何か、参考にできる論文はなんなのかをしっかり把握する必要があるからです。

結果、考察もしっかり文章まで読みます。とにかく全部、きっちり読む

4. 読むときに気をつけていること

いくらたくさん読んでも、覚えていなければ仕方がない
上でも書いたけれど、
・何を調べたいのか
・何がわかったのか
・先行研究と比べてどこがすごいのか
・どうやって調べたのか
・なぜこの手法を採用したのか
・考察の方法

はしっかり把握するようにしています。

ただ頭の中でこねくり回してても忘れるので、私の場合は要点を1枚のメモにまとめると内容を忘れにくくなる(ざっと読むのでも、精読するのでも)。

iPadで読んでいるんだから、かなり充実したメモ機能をこういうところにも使わないともったいない。デフォルトのメモを使って、まとめを作るようにしています (時間がないときはサボっちゃうけど...)。

まず、論文をダウンロードしたついでに、メモを開いてタイトル、著者、出版年、雑誌を記入しておきます。

論文を読んだら、もしくは読みながら

・Motivation: なぜこの研究をしようとしたのか
・Conclusion/New Insights: 結論、新しくわかったこと
・Future Plan/Contribution: 今後どんな研究が必要か、どう応用するか
・Questions: 読んでいて気になった部分
・To be checked: 調べる、勉強すること

を書いていきます。こんな風に。。。

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これは自分の研究とはあまり関係ない(ヒトの進化遺伝学、集団遺伝学)ので、ざっくりしか書いてません。
精読したものなんかは、もう少し細かく色々書き込みます。
でも1枚に納める

で、保存しておく。さらにスクショしてDropboxにJournal Memoとかって保存しておく。最近はNotionに入れたりもしています。ファイル名に論文のキーワードを入れておくと、探すときに便利。

ちょっと前はパワポにまとめたり、手帳に書き込んだり、メモに打ち込んだりもしていましたが、電車内だと手が足りなくなってくる。
せっかくiPadで読んでるんだし、と思って、ざかざか書けるiPadのメモに行き着きました。


。。。いかがでしたでしょうか?
めっちゃ長文書いてしまった...

冒頭にも書いた通り、絶賛試行錯誤中です。
効率よくできるものはなんでも取り入れたい。

こんなツールあるよ、私はこうまとめてます!なんて情報があればぜひ教えてください。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。


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