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映画「バスカヴィル家の犬」13の嘘

📣ネタバレ全開です。ご注意を。

2つの誘拐/7人の関係者/13の嘘


映画「バスカヴィル家の犬」シャーロック劇場版の15秒CM(魔犬の呪い篇)に出てくる「2つの誘拐/7人の関係者/13の嘘」っていう言葉、気になりながらもずっと放置。一度作品を観ていたら2つの誘拐も7人の関係者もすぐにわかるし、だからきっと13の嘘もすぐあれとあれでしょってわかるんだろうなーと思ってて。公開からひと月以上が過ぎて、ちゃんと観られるのもあと少しだし(円盤が出たら買いますが)、ここはきちんと嘘を数えてみよっか、と思って映画を観ながらメモしてみたら、なんとざっと数えただけで60個以上もの嘘が!そんなに!? 自分でメモしといて引く(笑) まあわかみーちゃんのミーティングアプリの背景とか江藤さんが獅子雄に遠~~くのトイレを教えたりしたのも嘘として前のめりにカウントしたので、増えるべくして増えた感じかも。
江藤さんの嘘もだけど他にも私のお気に入りの愛らしい嘘がたくさんあって、15秒CMにあった"13の嘘"には入らないとわかってるけど、メモせずには居られず。それはまた後でどうにかするとして、まずはノルマの"13の嘘"ですよね。この辺りでもうスパッと13個きれいにピックアップするのは難しいだろうなという予感…。

"13の嘘"は事件の根幹にかかわるものを選べばいいのかなきっと。とりあえず"嘘から派生した嘘"や"犯罪の手段としての嘘"は省いて、事件の根っこになりそうな嘘だけを書き出してみる。できれば登場人物の台詞で構成したいけど、そこはなかなか統一が難しいな…。

「13の嘘」 -maki-Ver.

①「紅は今日もたくさん遊んだのでぐっすり眠っています」 by 依羅
まずはこれ。誘拐した碧海を死んだ紅と偽って身代わりにしたメールの文面。依羅が千鶴男に叱られないためについたこの嘘が事件の発端。この時から依羅と馬場は本当の紅の死と碧海誘拐の事実をひた隠しにしてきたのだけど、千鶴男は途中からか薄々気づいていた。でもさ、気づかないフリをしていた=嘘をついていたのと同じだよな、とも思う。

②「初めまして」 by 朗子
冨楽工務店をリフォームアイランドと改名し、紅が碧海であることを確かめるために朗子が蓮壁邸に潜入。名刺の名前も偽名に。蓮壁家の人々と直接面識はないものの、20年前の誘拐を考えると、この「初めまして」も冨楽夫妻の潜入のための一連の嘘に含まれるかな。

③『娘を誘拐しタ』by 紅&冨楽夫妻
夫妻が蓮壁邸宛に出した脅迫状。誘拐そのものが狂言なので、「バイト帰りに拉致された」「気づいたら家の前にいた」など獅子雄たちに話した紅の証言すべてが嘘。

④千鶴男を襲った魔犬 by 冨楽夫妻
黒犬の祟りを利用して、言い伝えの魔犬を模したドローン。赤い目が写った画像など、魔犬が実在するかのように見せかけた工作はすべてこの嘘に付随したもの。

⑤千鶴男が使用した消毒液 by 紅
予め冨楽夫妻が用意した狂犬病ウイルスを紅が消毒液のボトルに混入。アニマルトラップでできた傷に千鶴男が使用するように仕向けた。

⑥「実は父が持っていた金庫の鍵が見当たらなくて」 by 千里
鉱山に行くつもりだと獅子雄に見透かされて咄嗟にした言い訳? 霞島で最初に会った蓮壁家の人物がすでにかなり怪しい、という印象を与えるために演出上は必要な嘘だろうけど、事件に深く影響する内容ではない。そもそも千里はなぜ鉱山に行きたかったのか。遺言書の内容を確認するため? ディナーを食べながらの千里の言葉「僕は父のことをもっと知りたいだけです」は嘘じゃない気がする。1人鉱山に取り残された時「父さん…父さん…」と言っていた千里。遺言を通して自分が千鶴男にどう思われていたのか知りたかったのかも。

⑦「狂犬病にもかかってたんですよね?」 by 紅
映画では千里が狂犬病にかかる描写は特にない気がする。だとしたら依羅を精神的に追い詰めるための嘘?「死因は凍死で間違いない」と紅に言った若宮の焦りの表情は、実は狂犬病にかかっていたとも、依羅の精神状態を気遣って"狂犬病"の言葉を聞かせたくなかっただけともとれる。

⑧「若宮さん。大丈夫かな…お父さん、千里、次は…」 by 紅
紅の怯えた様子も、若宮を味方につけるための嘘。バルコニーでの「嫌いじゃないですよ、お説教タイプ」あたりからもう若宮の取り込みが始まってるよな。若宮が鉱山に行くのを止める時の表情は本物だと思いたいけど、そのあとちゃんと依羅を殺害する準備(ロープ)をしてるし。迷う気持ちが出てきてはいても、動き始めた復讐劇を計画通りなぞるしか紅には道がなかったのかな。

⑨「安心しろ、俺は警察だ。その罪を軽くしてやれる」 by 獅子雄
せらでんに協力させるための嘘。これは事件と直結する嘘とは言えないので13の嘘の中に入れるか迷うけど、せらでんの協力(と自白)無くしては冨楽夫妻をおびき出せなかったと思うのであえて13分の1に。獅子雄はよく謎解きの手段として嘘をつくよねー。しかも人の心の襞につけ込んだやつ…

⑩立ち退きの脅迫状 by 捨井 (消した理由は⑭の後に)
はじめ当たり前のようにこれを嘘に入れたけど… ん? そう言えばこの人、「立ち退かなければ祟りがある」って書いただけで別に嘘は言ってないんだよな。立ち退かなければ来るのは地震なわけだけど、地震=祟りと言えなくもない。研究室での獅子雄との応酬でも、獅子雄の推理に対して「おもしろい」「そんなありふれたフォントじゃ証拠になりませんよ」とは言いながら「やってない」とは一切言ってない(=嘘はついてない)ような。気のせい?あーこれ確認したいな、捨井はたぶん映画全編通して嘘を1個も言ってない説。ありそう。捨井先生大好きだから確かめたい←

⑪千鶴男の遺言状の内容 by 獅子雄
紅には蓮壁家の遺産は一切入らないと冨楽夫妻に思わせるための嘘。これがきっかけで冨楽夫妻は犯行を告白する。

⑫「そしてウチらは蓮壁家の財産を碧海に相続させて、それで暮らしていこうと(←この辺、台詞曖昧…)計画しました」
by 雷太
主犯の紅を庇うために、すべて自分たちが計画したと告白した夫妻。「いちばん肝心なところが違う」と獅子雄に見抜かれる。

⑬「すべての計画は私が実行しました」 by 馬場
娘同然の紅を庇った馬場の嘘。でもなぜ最初の2件の犯行(千鶴男、千里)は黙って見過ごしてしまったのか。紅が殺人を犯す前にどうにかできなかったのかな…

⑭心象風景の絵 by紅(碧海)
バルコニーで描いていた明るいブランコの絵(「楽しそうですね」byわかみー)は偽りの心象風景。本当は深い海へ沈んでいく絵のほう。朗子は紅の部屋にある絵を見て紅(碧海)の心のもがきに気づいた。美術の素養がある以上に親だから、ということなのかな。


14個になっちゃった! ⑭は事件に直接かかわる嘘ではないけど、私的には13の嘘の中に入れときたいんだよなー…と悩んでたけど、文章にしてる途中で⑩が別に嘘じゃないことに気づいたので(笑) 、⑩を抜いて⑭を追加、合計13個!ちょっと強引に完成!
映画の感想が十人十色なように、「13の嘘」も人それぞれでいいよねきっと。


選外だけど考えておきたかった嘘

メモした大量の嘘の中に、「13の嘘」には含まれないだろうけど個人的に感じたことを残しておきたいと思った嘘(のようなもの)がいくつかあったので。

「生で見たほうが断然美しい」 by 獅子雄
これってアイリちゃんに対するお世辞(=嘘)なんだろうけど(ご機嫌とって紅についての話を聞き出さなきゃならないからね)、実は獅子雄の本心な気もする。獅子雄が欲しいのはいつも真実で、余計な装飾は必要ないしそんなものには騙されない。実際にスッピンの女性が好みかどうかは知らないけど、少なくとも見た目のいわゆる"美醜"と好き嫌いとは連動しなさそうだよな。ただ、初めて紅に会った時の「近づきたくもなるよなー」の台詞から、わかみーの好みの見た目かどうかは一瞬でわかるっぽい(笑)

「すべての答えは山にある」 by 獅子雄
謎の真相を突き止めるために若宮を利用する獅子雄。若宮を山に行かせることで、犯人をおびきだすことに成功し、追い詰められた人間がドローンの魔犬やクマの置物で作った着ぐるみを魔犬と思い込むことも実証。「こんなことするために俺をここに来させたのか!」わかみーの悲痛な叫びを「…悪く思うな」の一言で軽く片づける獅子雄。「犯人をおびきだすためだ」。獅子雄って実は人の気持ちの機微がけっこうわかる人だと思うんだけど、優先順位としては真相を突き止めるほうが勝っちゃうんだろうな。「悪く思うな」のあまりの軽さがそれを物語ってる。その優先順位さえクリアすれば本当に愛情深い優しい人なのにね。

「3人で幸せになろう」 by 紅(碧海)
雷太の「君さえよければ、これからウチらと一緒に暮らさないか」という言葉に一瞬驚いて、ベッドに3つ並んだ枕を見てから笑顔になる紅。あのうれしさと悲しさが混ざったような笑顔が(今さら遅いよ…)と言ってる気がして。紅の「3人で幸せになろう」は完全な嘘ではないけれど、その裏に冨楽夫妻と一緒に蓮壁家に復讐するという決心が込められていたと思う。「私の言う通りにしてくれる?」と自分に対する実の両親の愛情を確かめているようでもあって、これまでの愛されなかった日々を感じさせるし、紅が物心ついてから初めて親に言ったわがままなんだろうな。

「たった2週間で捜査は打ち切り、署長は逃げるように辞任」 by 雷太
これは嘘と言うより誤解だった。雷太だけでなく、江藤を含む当時の島民はみんなそう思っていたんだろうな。実際は独自に捜査を続けるために自ら辞職したと判明。魔犬の事件の謎を解く過程で明らかになった事実ではあるけれど、取調室で霞島にやけに拘る江藤の様子と、霞島が江藤の生まれ故郷だという事実を知った時点で、獅子雄は何か江藤に関係のある事実もつかみたいと思って捜査していたのかも。気になることは解明せずにいられない獅子雄らしさとも言えるけど、エピローグでのやり取りを見たらなんだか獅子雄らしくないお節介でもあり。"獅子雄若宮江藤グレ"好きとしては、じんわりうれしい。


考えるも何も…大好きな嘘


「せっかく遠ーーーくのトイレ教えたのに」
by 江藤
「13の嘘」って言われた時に真っ先にこれを思い出しちゃうくらいこの嘘が好き。江藤さんはやっぱり江藤さんだった。安心感(笑)

「全然いいと思うんですけどね、素朴な疑問で…昨日言ってた…キャ……」 by 若宮
どこが「全然いい」んだわかみー。よくないのバレバレだろわかみー。

「わざとじゃない!いや、わざと…」 by 若宮
「いや、わざと」って(笑)
ほんと嘘がつけない子なんですねわかみーちゃん。

こんなに嘘がつけない子がカンニングで医者になるなんて…なんかいろいろ心が苦しいな。

「なかなかいい所だったぞ」 by 獅子雄
これほんと好きな一言で。だって江藤さんのための嘘だよね?これ。嘘とは言えないかもしれないけど明らかに気遣いからきた一言。どうしちゃったの獅子雄、優しすぎるよ(泣)…もしかしたら旅館の食事とお風呂がめっちゃ気に入っただけかもしれないけど(笑)それもまた好き。


終わったー!

結局は最後の「大好きな嘘」が言いたかっただけみたいだけど、とりあえず嘘メモまとめ終了です。疲れた。
正解がわかるとうれしいけど、それ以上に、いろんな他の方Ver.の「13の嘘」も知りたいな。


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