2020年上半期お気に入りスト：重たい編

まえがき

2020年も半分が過ぎたので、聴いていた音楽を肴に半年を振り返ろう、というある種の定期行事。ルールは以下。

- 2020年1月～6月の間に購入して聴いていた音楽が対象
- リリース年は気にしない
- 基本的に順不同

リストを作っていると丁度良く重たいやつと柔らかいやつで10作ずつになったので、前後編でお送りしようと思います。前半戦はメタルやハードコアの重たいやつから。

「Every Bad」 by Porridge Radio

2020年作。バンド名を和訳すると「おかゆラジオ」。ただ音は鬱屈とした鋭い眼光のパンクでひりひりとした空気が武器。シューゲイザー味のある「Sweet」が白眉。

「AMYGDALA」 by The Oblyvion

ドイツ産2020年作。2017年から1曲ずつbandcampでリリースしていた5曲に7曲を加えた待望のデビュー作になる。鋭角的なリフの応酬とどこか爽やかな印象を与えるメロディー、メタルコアに通じる勢いに痺れる。

「Satellite Beaver」 by The Last Bow

2012年作EP。ストーナーならではの粗暴な音圧と馬力が正面からぶつかってくる心地良さよ。個人的にはヴォーカルの声質からMarilyn Mansonが想起され余分にテンションが上がってしまう。"粗暴"と表現した音だがしっかりテクニカルなのも印象的。

「Eupnea」 by Pure Reason Revolution

実に10年振りのリリースとなる2020年作。憂いを含む綺麗な印象のヴォーカルラインとどこか孤独さを孕んだヘヴィサウンドの応酬。何とも言えない陶酔感は健在で、懐かしいとは言わせない瑞々しい新作としての説得力は流石の一言。

「Kollaps」 by The Hirsch Effekt

ドイツの3人組による3年振り2020年作。苛烈を煮詰めたカオティックとも言える密度のマスコアの攻撃力に翻弄される。めまぐるしく展開し後半でラップも乱入する”NOJA”の勢いたるや。複雑極まりないはずなのにどこか曲ごとにまとまりを感じさせるのも印象的。

「Dreamcatcher」 by Their Dogs Were Astronauts

オーストリアの2人組プロジェクトによる2020年作。ポストメタル / Djent方面のインストメタルサウンドとして高水準で、低くスラッシーなギターの切れ味を存分に堪能できる。1曲目"Abracadabra"冒頭、音をブツ切りにしたイントロの醸し出す独特な不穏さが好き。

「Omens」 by Elder

ドイツの”heavy psychedelic rock”バンドによる2020年作（今気づいたけどドイツ多いな）。
5曲収録だが全て9分以上。ストーナーの重さを素地にプログレッシヴロック的な演出でじっくりと世界を広げていく手腕がどの曲でも発揮されている。5分経ってから歌が挿入されるなども珍しくないが、その歌も伸びやかでしっかりとした存在感を持っている。

「Glimpse」 by Kenta Shimakawa

日本人ジャズギタリストによる2019年作。ジャズからメタルへのアプローチ、そしてオリエンタルなメロディーの取り合わせにはTigran Hamasyanとの共通点が見え隠れする。
ヘヴィなフュージョンにさらに一癖といった風情でさらにゴリゴリのメタル曲も含まれる一枚だが、全体を通すとジャケットアートの風景に似た爽やかで少しファンタジックな壮大さが余韻として残る。

「Paragon」 by Uneven Structure

フランス産4人組による2019年作3rd。界隈特有のシンコペーションを多用したねばりのあるリフを武器に、幻想的なメロディーでじわりじわりと壮大に展開していく。Djentの色が濃いサウンドだが私はこれに弱い。界隈一流の魔術めいたヘヴィネスに語彙が鈍る。

「The Album」 by ZILF

エクストリームな音楽好きの界隈で最近の注目株らしい。UK産2020年デビュー作。
常軌を逸したテンションと「ごった煮」と評したくなる詰め込みっぷりに存分に振り回されまくる逸品。奔放なヴォーカルスタイルも見事で、飄々と喚き散らしたかと思えば叙情的なメロディーを挟んできたり。
この手のシュール手前のサウンドで理屈を吹き飛ばして「かっこいい！！」と思わせるバンドは検索性が低い傾向にあるので、口コミでの出会いに感謝だ。

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これで10作品。柔らかい編は近いうちに。