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医師国家試験に向けた学習方法

多分医学生にとって一番需要があるのは学習方法の記事だと思います。自分用の記録も兼ねてここに残しておきます。


はじめに

これはあくまで私個人の感想と経験に基づく内容であり、すべての人に当てはまる内容ではないことをご了承お願いします。特に教材や勉強法については個人間による向き、不向きの差が大きい内容であることに注意してください。

また、国試本番の結果ですが、講師速報の自己採点で
・必修:190/200(95%)
・一般臨床:281/300(93.7%)
でした。下に画像を貼っておきます。

上振れや下振れも特になく、模試の結果的にもこのぐらいの成績が妥当だと感じました。多少の変動はあるかもしれませんが、合格は余裕でできる(はず)くらいの成績だと思います。繰り返しますが、「自分はこうやったらこの成績が取れた」という程度なので、効果・効能を保証するものではありません。参考程度にお願いします。

勉強前の立ち位置や生活状況について

あくまで目安程度にしておいてほしいのですが、自分が医師国家試験に向けた本格的な対策を始めたのは、6年生の6月頃です。それまでは動画講義もほとんど見ておらず、QBの演習もせいぜい100問程度かじっているくらいで、医学知識も実習で耳にした程度のものしかありませんでした。

CBTの成績もIRTは覚えていませんが、真ん中よりかなり下の成績でした。ほとんど勉強をしていない3~4月の段階でメディックメディアの5年生模試(現プレ模試)を受けたのですが、偏差値は40程度だったと記憶しています。

実習はだいたい6月まであり、アルバイトは国試直前の1月後半まで続けていました。毎月15万円前後は稼いでいたと思います。

教材について

購入した教材

最近いろいろな意見がありますが、ひとまず自分が購入した教材を並べてみました。

・通年講座(Q-Assist prime)
・クエスチョン・バンク(主に電子版)
・イヤーノート

以上の3つを購入していましたが、イヤーノートは2回くらいしか使った記憶がありません。通年講座+QBが学習の中心でした。通年講座にQ-Assistを選択した理由は、「サブプリントがある」というのと、周りで多数派だったのが主な理由です。動画はあまり視聴していません。もったいないですけど。

購入していない教材

よく話題に挙がっているものの、自分が購入しなかった教材を並べてみます。基本お金がもったいなかったので不要と考えた物は買いません。

・Q-Assist plusや他の予備校の教材
欲しいのは基本的にサブプリントだったので不要と考えました。動画を見ている時間があれば演習に充てたいと考えたのも大きいです。

・病気がみえる
病態や症状を図で理解しやすい素晴らしい教材だと思います。ただ情報量がオーバーであり、QBに載っている以上の知識はいらないと考えていたので買いませんでした。予算もないし…。どうしても疾患についてのイメージがつきづらい人は購入おすすめです。

・直前講座
直前講座が発売された段階で特に不安もなかった+直前にインプットはするべきではないと考えていたので購入しませんでした。周囲の人が買ってるのを見ると買いたくなる気持ちもわかりますが、自分の能力と相談しましょう。

基本的にお金をかけたくなかったので不要と思ったものは購入しませんでした。新しい教材を購入するということは、「時間+お金」が持っていかれるということです。よほどの大富豪でない限りは、どの教材を買うのかよく考えましょう。
教材については多くの議論があるのでまた気が向いたら別記事で詳しく考えてみたいと思います。個人的には、ほとんどの人は通年講座+QBで合格点は取れると考えています。


例外がひとつあって、教材がないと不安に感じてしまうような人はお守りのつもりで教材を買ってもいいと思います。特に直前講座は駆け込みで買う人が多い気がしますが、メンタル面のお守りにはなります。成績に直結させようと思って買うものではない、というのが個人的な意見です。

模試

自分が受けた模試は以下です。

・夏メック、冬メック
・第3回テコム模試、第4回テコム模試
・第1回、第2回、第3回メディックメディア模試(MM)

これはちょっと受けすぎだと自分でも思います。模試の復習にも時間が必要なので、テコム模試とメディックメディア模試はどちらか片方でいいと思います。


夏メックあたりから受験者が増えるため、このあたりから模試を受け始め、10,11月頃にテコム3かMM2、12月に冬メック、1月にテコム4とMM3(もしくはどちらか片方)受ける人が多いんじゃないかと思います。
多くても夏1回+秋1回+冬メック+直前1,2回くらいで十分だと思います。模試の復習って思ったよりかなり大変です。

スケジュールと戦略

戦略

プレ模試を受けたときにほとんどの問題が解けず、さすがに危機感を感じました。国試に向けた1年間のスケジュールを立てようと考えたのですが、自分は今までスケジュールどおりに動けた試しがなく、勉強の計画も立てたことすらありませんでした。結局スケジュールは立てず、やれるだけやろう!という頭の悪い考えに落ち着いてしまいました…。

アルバイトは学生生活が終わるまで続けるつもりだったので、「できるだけ早く合格圏内に入って適度にサボりながら逃げ切ろう」という戦略を立てました。この逃げ切り作戦は、気持ち的に余裕をもって勉強ができるのでかなりおすすめです。

具体的には、
①病態の理解は置いておいて、とりあえずサブプリ暗記(~8月)
②暗記がある程度出来たらQBやりながらサブプリ(9~11月)
③合格圏内に入ったらQBのみ(12月~)
この3段階に分けて学習をしました。

「病態の理解はどうするんだ!」みたいな人もいるかもしれませんが、サブプリやQBやってるうちにだいたい覚えます。病態の理解が全くできておらず暗記が進まない分野や、動画時間が短くコスパのいい分野に関してはしぶしぶ動画を見ました。
・産婦人科
・小児科
・整形外科
・マイナー科(眼科、耳鼻科、皮膚科)
はフルで動画視聴しました。他はほとんど見てません。動画講座は1回見る分には理解は深まりますが、通しで繰り返し見るものではないと思います。

インプットとアウトプット

勉強の戦略を考えるうえで欠かせないのがインプットとアウトプットの考えです。

・インプット…動画講座、参考書
・アウトプット…サブプリントの穴埋め、QBやその他問題演習

となります。
学習をするうえで一番大切なのは、「アウトプットに多くの時間を費やす」ことだと考えています。インプットはあくまで「アウトプットができるようになるための材料」でしかありません。

そのため、自分は

インプット:アウトプット=2:8

くらいの配分で勉強しました。インプットはもっと少なくてもいいかもしれません。
動画講座を見終わっただけで安心してしまう人は特に気を付けてください。それはインプットをしただけに過ぎません。アウトプットまでできるようにならなければ本当に身についたとは言えないと思います。

動画講座はもちろんインプットするうえでは最良の手段ですし、効率もいいと思います。見終えるだけで満足感、安心感があるのも理解はできます。しかしそれをアウトプットに繋げなければ、ただ時間を無駄にしただけになってしまいます。
直前講座をお守りといったのもそのためです。教材をたくさん買う人ほどその傾向があるように思います。もちろんそうでない人もいるので一概には言えませんが。

いつまでも動画を見てないで、さっさと問題演習をしたほうがいい、というのが自分の意見です。

具体的な方法

勉強開始(6月)~8月

まずサブプリントをカード化し、Ankiというツールに取り込みました。

導入方法まで書くととんでもない尺になるので使い方は各自で調べてみてください。また、サブプリントをカード化する方法ですが、

上記の記事を購入し取り込みました。自分で作ってもいいのですが、そんなことに時間を取られたくなかったので少しお金をかけました。結果的には大正解だったと考えています。

取り込んだ後は、1分野につき1~2日かけて暗記し、1~2カ月かけて全分野覚えました。もちろん途中でノルマが来た時にはそれもこなすようにしていました。QBもほとんど解いてません。
産婦人科や小児科、マイナー科は動画を見ましたが、全部2.5倍速で、2日以上かけないようにしていました。

ぶっちゃけた話で言うと、このころが一番勉強していた気がします。マッチング等もありましたが、合間の時間を縫ってとにかくAnkiを回していました。Ankiの課題がない日はちょこちょこ苦手分野のQBを解いていました。

8月の前半に夏メックを受けたのですが、その成績を載せておきます。

総合の全国偏差値は55.8でした。

この模試を受けた段階ではメジャー科はほとんど暗記していましたが、産婦人科の暗記はまだ途中かつ、小児科、マイナー科はノータッチでした。
この成績を見て自分の勉強方法は間違っていなかったと考え、8月中には全分野を回し終わりました。

回し終えた段階でMMの1回目を受けました。

この時点でQBはあまり解いていませんが、このまま逃げ切れると思い、気持ち的にもだいぶ余裕ができました。ただQBを解いていなかったため、問題慣れしておらず変なミスが目立ちました。そこで、9月以降はQB中心の学習に切り替えました。

9月~11月

模試でだいぶ自信がついたため、この時点でQB中心の演習に切り替えました。先に自分のQBの演習状況を貼っておきます。

受験後にこれを見て気づいたんですが、ひと月1120問を超えた月がないみたいです。9月頃からは2~3日に1回勉強をしていました。勉強ばかりしていても疲れちゃうので。

わざわざ演習状況を貼ってまで何を伝えたかったかというと、演習において大事なのは圧倒的に量より質です。
QBで演習するときに、下の方に載っている解説や先生のコメント、病みえから引っ張ってきている表を見逃していませんか?
もちろん多少過剰と感じる部分もありますが、そこから問われている問題がかなりあります。1問1問時間をかけてもいいのできちんと解説や関連情報まで読むようにしましょう。

ほとんどの受験生はQBを中心に勉強しています。イヤーノートや病みえを丸暗記してる人なんていない(はず)です。つまりQBに載ってることさえ全部覚えてしまえば理論上落ちることはないはずです。これは極端すぎるかもしれませんが、質を大事にした方がいいよ、というメッセージです。

ちなみにQBでは回数別を中心に演習していました。1周目問題すら全然解き終わっていません。5年分やれば受かるってみんな言っていたので…。

12月~

この時期になると周りにも国試ムードが漂ってきています。ピリついて仲が悪くなるカップルもいました。ドンマイです。
自分はというと、この頃からAnkiを回すのはやめて、模試の復習、QBに注力していました。直前期にもなれば問題を解くことが1番大事になってきます。

直前講座も売られ始めますが、一切見向きもしませんでした。この時期にまだ不安が残っているようなら買ってもいいと思います。しかし、問題を解くことの方がよっぽど大事です。時間をかけすぎない、買いすぎないように注意してください。
と言っても、直前期にはメンタルを整えることもかなり重要度が高いです。不要だと言い続けてきましたが、それで安心できるのなら迷わず買いましょう。

年末年始は短期のアルバイトをかけもちしてかなり遊んでいました。おそらくやる気が一番なかった時期です。この時期でも2~3日に1回勉強というスタイルでした。これはあんまりよくないと思っています。受験生たるものせめて直前期くらいは毎日勉強です。

秋模試以降の成績を載せていませんが、偏差値や順位はほとんど変動なしです。偏差値60前後、順位200位前後を行ったり来たりしていました。

本番

国試当日のことは別の記事に書いてあるので特に書くこともありません。特にあがりすぎることもなく、普通に受験できました。国試せん妄は何回か起こしましたが。

まとめと感想

長々と書いてしまいましたが、とにかく伝えたいことは、

①アウトプットしよう!
②質にこだわった演習をしよう!

の2点なのでそこだけ覚えて帰ってください。

国家試験のために半年ちょっと勉強中心の生活を続けてきましたが、思ったより大変ではなかった、というのが正直な感想です。逃げ切り作戦で余裕をもって生活できたのが大きいと思っています。後から焦りたくない人は割とおすすめです。

少し話がずれますが、医師国家試験という大きなイベントを迎えるにあたって、勉強量、センス(空気を読む力、察せる能力)、メンタルの3つがかなり重要だと思いました。
正答率低めの問題を取りこぼさない凄まじいセンスの人がいたり、メンタルが安定せず、普段選ばないような選択肢を本番で選んでしまうような人もいました。勉強量、センスについては頑張るしかないのですが、メンタル面は日常生活、教材量等でいくらでも調整が効きます。個人差はありますが。
当日や直前期をどう乗り越えていくかというのは、やはりメンタルに依る面が大きいと思うので、普段から自分のメンタルについても向き合ってみるといいかもしれません。

おわりに

伝えたいことが多すぎて本当に長い文章になってしまいました。読みづらい点多々あると思いますがお許しください。この記事を真面目に読むのは119回以降の受験生だと思いますが、意外と何とかなります。気負いすぎないでください。それだけです。

お読みいただきありがとうございました。

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