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AMAZONがスマート冷蔵庫を普及させた世界を考える(#TribalOpenVillage 第一回宿題)

1. はじめに

このレポートは、トライバルメディアハウス池田さん(@ikedanoriyuki)のセミナー「#TribalOpenVillage」の第一講目の宿題「AMAZONがスマート冷蔵庫を日本の全家庭の30%に普及させたら世の中はどうなるか?」の回答です。
世界に向けて自分の考えを表明するのは、私にとって初めての大きなチャレンジです。ビジネスマンとして論理的な文章を構築する練習も兼ね、できる限りレポートっぽく書きました。また、曖昧な立場は避けてできるだけ意見を言い切り表明する書き方にしてあります。そのほうが賛成意見や反対意見をいただきやすいだろうと判断したためです。
マーケティング経験5年目の拙い意見です。コメントでつっこみをいただけると嬉しいです!
下記本文↓

2. AMAZONのミッション、狙い

2019年Q1の決算では売り上げ額は$59.7B、YOY17%の成長率というAMAZON。「地球で一番お客様のことを大切にする会社」であることをミッションに掲げ、小売流通サービスにおいて圧倒的なシェアを誇る。しかしながら、最大の収益源である北米市場ではプライム会員が1億人を突破し、会員数増加による売り上げ増はほぼ頭打ち感が出てきている。実際、成長率は昨年同時期の46%に対して17%とかなりの減速がみえる。また、インターナショナルでの成長率は9%とついに一桁台となった。逆に成長率が安定しているのがAWS部門である。成長率は41%と、安定して収益を伸ばしている。(https://press.aboutamazon.com/news-releases/news-release-details/amazoncom-announces-first-quarter-sales-17-597-billion)

 上記を元に、次なるAMAZONの狙いを3つ予測すると、①引き続きAWSでの安定収益の獲得②会員数では頭打ち状態となった小売事業で収益を増やすためのSPP(sales per person)の向上③小売流通やAMAZONエコーなどのデータを利用したレコメンドエンジンの大幅な改善及びレコメンドエンジンを利用した広告での収入増だと考えられる。
本レポートでは、AMAZONがスマート冷蔵庫を販売した場合、購買体験がどのように変わるのか、それによる小売ビジネスや家電メーカーへの影響はどんなものがあるかという点を検討する。特に、AMAZONの次の狙いである②SPP向上と③データを利用したレコメンドエンジンの改善に関連すると考えている。

3. スマート冷蔵庫の収益見込み

AMAZONがスマート冷蔵庫販売を開始するとき、SamsungやPanasonicのようにスマート冷蔵庫それ自体での収益化を狙うとは考えにくい。過去にはAMAZONダッシュを実質無料で販売したり、AMAZONエコーをプライム会員向けにセールをしたり、AWSの値下げ施策したりなど、シェアを獲得するために価格を下げる戦略を取ってきた経緯がある。Samsungで2018年に販売された「Family Hub」はメーカー価格33〜56万円であるのに対して、AMAZONは通常の2〜3人向け冷蔵庫と同様の価格帯、つまり8万円〜15万円で販売してくる可能性がある。また、プライム会員向けセールで大々的に宣伝をすることで、家庭への普及を進めるだろう。2019年現在、AMAZON会員は4000万人を超えると考えられる(https://netshop.impress.co.jp/node/5764)。
日本の人口の3分の1の会員が冷蔵庫買い替えのタイミングでAMAZONスマート冷蔵庫を選ぶと、世帯の30%に普及するのはそれほど時間がかからないと考えられる。

 スマート冷蔵庫の機能としては、最低限「庫内在庫の管理」「お買い物リストの管理」「レシピ、レシピ動画の検索」が付与されるだろう。「庫内在庫の管理」によって、AMAZONダッシュで実現し、AMAZONエコーで加速化した「同じ商品は思考することなく購入できる」仕組みを更に加速できる。賞味期限切れ間近な商品はAMAZONフレッシュで当日買い足すことをレコメンドしてくるだろうし、いつも3パックの納豆がある家庭では残り1パックでレコメンドを受け取るだろう。ブランドスイッチするタイミングを与えず、常にAMAZONで購入するのが一番楽だという状態がつづく。これにより、食品通販市場の30%のシェアを獲得することができる。日本産業流通新聞によると、2019年最新データでAMAZONの食品通販シェアは第2位。トップ50社の合計売上5,700億円のうち500億円(8.7%)から、3倍以上の1,710万円(30%)まで伸ばし、日本で1位になれる。

 また、家庭の30%にスマート冷蔵庫普及することで、配送コストの最適化を叶えられるかもしれない。AMAZON経由で購入された商品の賞味期限を管理することができれば、顧客が欲しいと思ったタイミングではなく、予測できる賞味期限データからの配送予測が立てられる。配送予測により配送業社との価格交渉がしやすくなる。

 更に、家庭の30%にスマート冷蔵庫が普及するということは、家庭の庫内画像データの30%を獲得することと同義である。現状、AMAZON広告の強みAMAZONでの購買データによる強力なレコメンドエンジンである。そこに庫内画像データが加わることで、冷蔵庫の中身データをもとにしたターゲティング配信や、中身データと購買データの学習による更なるレコメンドエンジンの強化を目指せる。これによりAMAZONは広告収入の拡大を見込めるだろう。

4. まとめ

AMAZONがスマート冷蔵庫を全家庭の30%に普及させるとき、ユーザーの買い物体験は大幅に改良され、小売ビジネスはシェアを奪われる。思考停止して継続購買される世界が来た時、他の小売ではどのような戦略を取ればいいのだろうか。指名買いされるようなブランディングを強化していくのか、AMAZON出店して広告最適化を進めるしかないのか。これは次の課題とする。

このレポートを書く上で参考にさせていただたのは下記です。


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