佐野雄大は歌詞に選ばれている
そう思う瞬間がよくあります。初めて思ったのはオーディションファイナルの日、RUNWAYの「瞳を閉じて 鮮明に描くよ」というパートを聴いたときでした。当時リアタイしていたわたしは、朝から心臓が破裂しそうなくらい緊張していました。大好きな練習生たちの渾身のパフォーマンスをしっかり見届けたいとは思いつつも、ナーバスな気持ちが勝って楽曲に集中できていないところがありました。そんな中で、前述の雄大のパートになったとき、急に歌詞が入ってきたんです。
RUNWAYにはずっと強めの爽やかな風が吹いているイメージを受けていたけれど、雄大パートはそよ風や凪。深呼吸させてくれる時間。明るいけれどうしろは振り向かないという揺るがない意志を、やわらかい声で包んだ雄大のパートが大好きです。「地平線の果てめがけ 向かうんだ 強く」にも同じことを感じました。
このnoteを書くに至るほど衝撃を受けたのはWhatever Happensです。「過去の痛み、喜びも 全部今の僕」を初めて聴いたとき、あまりに歌詞が浸透してきてびっくりしたんです。人一倍泣いて努力して、めきめき成長してステージで笑う雄大の姿そのものすぎて。
両手で掬いあげるように優しい歌声だったので、これを歌う雄大はどんな顔をしているんだろうと想像が膨らみました。一刻も早く表情を含めた表現でここを聴きたい!という気持ちが抑えられなくなって、ひたすら聴きこんでその姿を考えました。念願叶ってライブ(FLIP THE CIRCLE)で観ることができたのですが、音源だけでは感じられなかった頼もしい格好良さが前面に出ていて、更に大好きになりました。
これらを踏まえて、わたしは爽やかだったり優しかったりする曲のBメロで語りかけてくれる雄大が好きなんだ、と思っていました。Where My Drums Atがリリースされるまでは。WMDAはドラムをキーに、視点を変えて世界を広げるというコンセプトを力強いサウンドで表現する曲。個人的には、RUNWAY やWhatever Happensなどと比べると、歌詞よりは音を楽しむ曲でした。
でも「傷つけるためじゃない武器 Take it」を聴いたとき、雄大のパーソナリティーにぴったりで鳥肌が立ったんです。その一挙手一投足で見る人を笑顔にする、天性の愛嬌。やわらかい物腰に隠した強い信念。そんな雄大のマインドは、間違いなく傷つけるためじゃない武器だって思いました。今年7月のFCブログが心に刺さっていてたびたび読み返すんですが、終盤にそれを色濃く感じます。剣でも盾でもない、北風と太陽の太陽みたいな。包んで仲間にして、みんなで進んでいくような世界一やさしい武器。
雄大は自分(達)のことを「運や奇跡がひとつひとつ積み重なってできている、何回人生やってもこの結果に辿り着くのは今回だけ」って言っているけれど、こんなに歌詞が人生に寄り添ってくるのも雄大が持っている奇跡なんじゃないかなあ。それが持つ意味を存分にのせて輝く、雄大の歌声が大好きだよ。これからも楽しみにしてるね。