異形の花
「心弱くなるとこの歌を思い出す」と言ってくれた方がいて
私は心弱くなると、この花とこの言葉を思い出します。
ヒガンバナ科ヒガンバナ属ヒガンバナ。
昼と夜が等しくなるお彼岸のころ、降って湧いたように咲く。
此岸のものとは思われぬ異形の美しさから
海の女神「リコリス」「曼殊沙華」、
毒をもつことから 「死人花(しびとばな)」「幽霊花(ゆうれいばな)」
など あまたの名で呼ばれる 一匹狼のような花。
けれども、繰り返し水にさらせば毒はなくなり
飢饉のときには 多くのひとを救ってもきた。
潔く しんとさびしい花よ。
あなたみたいなひとを よく知っている気がするの。
天と地のあはひに生きるかなしみを 赤曼殊沙華、白曼殊沙華
/春野りりん『ここからが空』
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