サザンオールスターズ「栄光の男」〜歌詞感想を徒然と〜
2013年
この曲は2008年、サザン活動30周年の際
「I AM YOUR SINGER」を発表して「無期限活動休止」に入った彼らの、5年ぶりの活動再開として発表された「ピースとハイライト」の3曲目のトラックである。
ちなみにこの表題曲「ピースとハイライト」のイントロ、5年間、活動再開を今か今かと心待ちにしていた全国の、いや、世界のサザンファン達には涙が出るほど心が熱くなるファンファーレに聴こえたであろう。
小生がこの世に生を受ける遥か昔、
1974年10月
長嶋茂雄が巨人を引退した。
サザンが「勝手にシンドバット」でデビューする4年前である。
その際に長嶋茂雄氏は
「我が巨人軍は永久に不滅です」
と述べた。
桑田佳祐氏は青山学院大学に在学中、青山にある喫茶店でこの引退セレモニーを観ていたらしく、人目を憚らず号泣したことはサザンファンの間では有名な話であろう。
もちろん桑田氏が感銘を受けたのは18.19歳の頃である。
歌詞を聴くと、あの頃感動した経験をもとに、歳をとった桑田氏があの頃を回想した上での曲であることがわかる。
一度聴いたら忘れられないギターイントロ。
そこからのハーモニカ。
爽やかな曲始まりから桑田氏の唯一無二の歌声。
この曲、小生的にはベースがとても印象に残る曲だと考えている。
本来なら裏方であるベース音が安定して活躍する姿は、サザンのキャリアが只者ではないことの象徴のひとつと感じるのは小生だけではないはず。
歌詞としては
『「永遠に不滅」と、彼は叫んだけど、信じたモノは皆、メッキが剥がれていく』
これを歌うのが若いアーティストであったら全く響かないものなのであろう。
小学生の時に大好きだったモノ、数年前に流行っていたモノ、ふと振り返ってみたら
「あれ?こんなもんだったっけ?」
なんて経験は、誰にでもあるものであろう。
こんな表現含め、
すいも甘いも経験した大人が
『叶わない夢など追いかける程野暮じゃない。』
『哀しくて泣いたら、幸せが逃げてしまう。
1人寂しい夜、涙堪えてねんねしな』
『生まれて変わっても、栄光の男にゃなれない』
『この世は、弱い者には冷たいね。終わり無き旅路よ、明日天気にしておくれ』
などの、
どちらかと言えばネガティブな言葉で歌われているこの曲、
小生は、何故だか希望しか感じないのである。
歌詞的には全体を通して
一切、「がんばろうぜ!」
なんて言ってないのにも関わらず何故そう感じるのか。
じっくりと何回も聴いてみて出した、小生なりの答えは
「サザンだから。」
であった。
桑田佳祐氏が歌うから、この曲を前向きに感じられるのである。
サザンオールスターズじゃなきゃ歌えない曲とはまさにこれである。
2018年で40周年を迎え、未だに衰えることのないモンスターバンド。
生きているうちにこんな曲に出会えたこと、そして、この曲を聴いて前向きになれる人生に感謝したい。